イゲ知事は、議会が「オハナ・ゾーン」建設のために充当した3000万ドルの資金の一部を使い、ホームレス用の緊急避難所のスペースを拡大した。既存の避難所を改築し、ホームレスの恒久住宅建設を促進する計画であった。これは、当初議会が計画していた州政府管理のホームレス・キャンプの構想を拡大するものである。 しかし、同知事のこの計画に対し、すでにオハナ・ゾーンの法制化を支持していた州下院の主力議員から批判の声が上がった。多数党院内総務のオー・ベラッティ議員は、イゲ知事の計画を「少し雑である」と批判し、同知事が12月27日までに議会に提出予定のオハナ・ゾーン計画の詳細を検討したいと述べた。 「知事には革新的な計画を立案していただき、より広い観点で結論をだしていただきたい」と同議員は語った。また、リーワード・コーストに80戸のホームレス住居を建設する(ホームレスは、今年初めにこの地域から撤去している)同知事の計画、を「不可解」であると指摘した。 イゲ知事の計画では、3千万ドルの総資金のうち、オアフ島とハワイ島のプロジェクト用の1730万ドルの使用詳細についてだけ説明されている。マウイ島とカウアイ島のプロジェクトについても両郡の郡長が新しく就任したばかりで、両郡長との協議も必要なことから、後日発表される予定となった。オハナ・ゾーン・プログラムの執行条件を規定する209号決議案は、オアフ島に少なくとも3か所のホームレス用敷地を、ハワイ島、カウアイ島、マウイ島ではそれぞれ1か所を特定する必要があると記載している。 「オハナ・ゾーン」という用語は、この決議案ではゆるやかに定義されているが、当初は「セーフ・ゾーン」と呼ばれるホームレス・サービス等を提供する政府認可のキャンプと解釈されていた。
イゲ知事はセーフ・ゾーンに反対しており、キャンプの設営は問題の解決につながらず、恒久的住宅建設以上の費用がかかる、と述べている。一方、同知事の計画は資金の利用方法に柔軟性があり、実行可能なプログラムへの投資が可能で、現在手が付けられていない地域へ拡大することもできる、と主張している。 オハナ・ゾーン・プログラムはパイロット計画で、3千万ドルの資金は3年間にわたり使われる。 イゲ知事の計画の一つは、3年間で750万ドルを使い、リーワード・オアフのマイリ村に恒久的住宅と緊急避難所を建設することである。ここでは、オールタナティブ・ストラクチャーズ・インターナショナルが、80戸の仮設ホームレス住宅を過去10年間運営してきた。しかし、ハワイアン・ホームランド局との土地の賃貸借契約が満了したため、今年10月に運営が中止され、住民は退去を余儀なくされた。 ハワイアン・ハウジング委員会は10月にハワイアンだけに利用させることを条件に1年間賃貸契約を延期したが、州政府がこの施設を3年間運営できるかどうかは不透明である。 一方、この仮設住宅は、今後カトリック・チャリティーズ・ハワイが運営を行い、48戸を恒久的住宅、32戸を仮設住宅とし、年間推定340人を収容する予定である。 イゲ知事の提案する他の計画は、ホノルル市・郡に今後3年間で150万ドルを毎年拠出し3か所に60戸の恒久的及び補助住宅を建設する、カイルアの若者用の避難所を180万ドルをかけ拡張する、カラエロアの2つの州立避難所を2百万ドルかけ改築する、ハワイ島にあるナ・カフア・ハレ・オ・ウル・ヴィニのサービスを強化するため150万ドル(3年間)を拠出する、等である。 イゲ知事は、他の用途への資金援助も検討すると述べた。
(日刊サン 2018.12.22)