長崎平和賞受賞者のマーシャ・ローズ・ジョイナー氏
今年で74周年を迎える長崎原爆の犠牲者慰霊平和祈念式典(Nagasaki Peace Ceremony)が8月9日午前、ホノルル妙法寺で催された。式典には長崎県人会、ハワイ州、ホノルル市関係者、ハワイ・ロイヤル・ソサエティーズ、オアフ島内の聖職者ら約100人が参加し、人類史上実戦で使われた最後の核兵器である74年前の長崎原爆に想いを馳せながら、被害者を慰霊し平和を祈った。
式典では、最初にロイヤル・ハワイアン・バンドの演奏でハワイ州歌「ハワイポノイ」、日本国歌「君が代」、アメリカ国歌「星条旗」がそれぞれ斉唱された。その後、長崎平和賞受賞者で活動家のマーシャ・ローズ・ジョイナー氏が挨拶で「1945年のこの週に広島と長崎に起こったことを決して忘れてはならない。この出来事を末永く後世に伝え、平和を誓い続けなければならない」と述べた。続いて、カフ・キャノンR.K. モキ・ヒノセント・アンドリュー大聖堂司祭、山村尚正ホノルル妙法寺住職がそれぞれ犠牲者慰霊の祈りを捧げた。
オバマ財団コンサルタントでオバマ元大統領の異父妹マヤ・ストロ博士は、日本の友人が贈ってくれたという水滴をイメージしたアート作品を掲げながら次のように述べた。「1粒の水滴も集まれば多くの水になり、何かを動かす水力になる。私たちは一人ひとりが水滴になり、原爆のエピソードを通して平和の大切さを後世に伝え続ける意味を忘れないようにしなければならない」。
伊藤康一在ホノルル日本国総領事館総領事が挨拶。「私たちは74年前に起こったこの出来事を決して忘れてはならない」と述べるとともに、2016年12月に安倍晋三首相がオバマ元大統領とともにアリゾナ記念館で真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊したことに触れ「ハワイと日本、アメリカと日本の相互協力の下、両国と世界の平和と安全を維持していくことに努めなければならない」と語った。
その後、椎葉幹延長崎県人会会長が「長崎の鐘」を斉唱して犠牲者を慰霊。投下時刻の午前11時2分には全員で約1分間の黙祷を捧げた。その後、山村尚正住職がアヴェ・マリアを斉唱し、クムフラのマヘアラニ・カリコラウオレナオカラニさん率いるフラ・グループによるフラ・カヒコが奉じられた。参加者たちは1人ずつ境内の鐘を鳴らし、平和への想いを新たにした。
(取材・文 佐藤リン友紀)
(日刊サン 2019.08.24)