松井広島市長、米国市議会総会で平和をスピーチ 領事館では本場の広島お好み焼きに舌鼓
ホノルル市は世界各地、28ヶ所と姉妹都市の提携をし、文化や観光、芸術などの交流を重ねており、広島市との姉妹提携は今年60周年を迎えた。
同市は東京都や那覇市、宇和島市などとも姉妹提携を結んでいるが、広島市との提携は最も古い。 60周年の節目を迎え6月29日〜7月4日まで、松井一実広島市長はじめ、広島平和文化センターの職員、市議会議員、経済交流代表団、芸術団などの一行がホノルルを訪れ、平和、観光、特産品、芸術など活発な友好と交流を行った。
松井広島市長は6月30日、ヒルトン・ハワイアン・ビレッジで開催された全米市長会議に出席し、全米の市長をはじめとする900余人の出席者に向けてスピーチ。核超大国である米国内で、平和首長会議の加盟都市の拡大を強く呼びかけ、都市や市民レベルの核兵器廃絶に向けた気運が米国内に高まることをアピールした。
松井市長は翌日、プナホウスクールを訪問。学生に向けて被爆者の核兵器廃絶に向けた切なる思いを伝え、平和への思いを訴えた。 7月2日には在ホノルル日本国領事館で記念のレセプションが開催され、伊藤康一総領事や、カーク・コールドウェル市長ら約100人が出席。
伊藤総領事は以下のように挨拶。 「元年者から続く日系移民の3分の1近くは広島出身者でした。広島出身の2世3世はアメリカの経済や政治、スポーツなどの分野で大いに活躍しています。ハワイでのパールハーバー襲撃と、広島への原爆の投下という悲惨な経験をした両市民の平和への強い希求は、姉妹都市としての絆を深めてきました。これからもさらなる友好、親善を深めていきましょう。私は大阪出身でお好み焼きが大好きなので、今日は本場の広島お好み焼きが食べられるのでとても嬉しいです。広島のおいしい日本酒もハワイで購入できるようになりました。どうぞ皆さん、広島の名産品をご堪能ください」
昨年広島を訪問したコールドウェル市長もスピーチ。 「ホノルル出身のオバマ大統領が高らかに謳った“核兵器のない世界”は、広島市とホノルル市との姉妹都市交流の中で培ってきた、平和を希求する心が源にあると確信しています。“ヒロシマの心”とホノルル市の“アロハスピリッツ”には共通した側面があり、両市がさらなる協力で核兵器廃絶を懸命に訴えていきたい」 松井市長も全米市長会議に続き、流暢な英語でレセプションの開催を感謝した。
領事館の庭に設けられた会場には特産品のコーナーや、“炭火やき鳥処カープ鳥ハワイ”の焼き鳥や広島お好み焼きのブースもあり、広島出身の日系人や経済界の招待客が列を作った。広島市内の小中高生でつくる“広島ジュニアマリンバアンサンブル”の9人も芸術団として来布しており、“広島原爆の歌”を歌って踊って元気に演奏。和太鼓も披露した。アンサンブルのメンバーは年間100回近くの公演を行い、来月にはカンボジアでもパフォーマンスをするという。
(取材・文 奥山夏実)
(日刊サン 2019.07.10)