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【日刊サンコミュニティニュース】オールハワイ空手道選手権、 記念すべき60回大会を開催

Bynikkansan

12月 5, 2019

開会式は、IKFの選手達と沖縄祭り太鼓とのコラボ演武

 

KARATEは2020東京オリンピックの新種目

 

 11月23日、マノアのマルチパーパス体育館で、『オールハワイ空手選手権』が開催され、ハワイはもとより、日本やアメリカ本土から選手団が来島し、白熱した競技が行われた。

 

 出場したのは男女3歳から60歳代の選手1,000人以上で、競技種目は男女・年齢別に、『形KATA』、『古武道KOBUDO』、『組手KUMITE』の3種。5人の審判がついてジャッジ。最優秀選手にはサクラメントから来たブライトン・フジモリさんが選ばれトロフィーが贈られた。

 

 空手のKATAは仮想の相手と戦う演武で、一人または数人で行う。突きや蹴りの力強さやスピード、リズム、バランス、パワーが採点され、動きがブレないこと、キレと迫力があること、そして技の意味を正しく表した美しい流れがあることなどが評価のポイントになる。数人のグループで行う場合は、演武がいかに揃っているかも採点される。

 

 3歳のちびっ子はKATAができただけでただ可愛いらしいが、小学生ともなると礼儀正しい入場や、仮想であっても敵を倒す闘志、演武のスピードやキレが伝わってきて迫力がある。

 

 KOBUDOは、空手発祥の地、沖縄の琉球王朝時代の格闘技で、武具を使用して行う。たとえば釵(SAI)は、琉球王国時代には大筑(ウフチク、警察署長)や筑佐事(チクサジ、刑事)などが携帯していた武具だ。

 

 

KOBUDOで使われる武具SAI

KOBUDOで使われる武具SAI

 

 

 櫂棒(KAIBO)など、2m近い長棒なのに一糸乱れず振り回すのは、日頃の鍛錬の証し。女性もみごとに演武していた。

 

 KUMITEは実際の対戦。瞬発力のある突きや蹴りが相手の目的部位を確実にとらえる、KATAの集大成で、スピード、迫力とも満点。攻撃の魅力もさることながら、相手との駆け引きには息を飲み、攻撃を逆手に反撃する一瞬のタイミングから目が離せない。

 

 

 

大会会長の小高氏と、名誉会長のJo Mirza氏

 

 

 

世界のKARATE、ハワイは全米一の強さ

 

 空手は1920年代に沖縄から日本に伝わり、第二次世界大戦後に世界に広がっていった武道だ。世界空手連盟(WKF)の加盟国・地域は194を数え、競技人口は世界6,000万人以上といわれる。

 

 強豪国はアゼルバイジャンやフランスなどのヨーロッパと中東諸国。ロシアのプーチン大統領は極真空手の8段だ。

 

 発祥国である日本は、数年前まで上位に食い込む選手が少なかったが、数年前からメダル圏内に位置する選手が増えてきた。とくにKATAはここ数年、男女とも日本が世界のトップをキープしている。

 

 アメリカは競技人口が多く、とくにハワイには小高忠三氏が主宰する『国際空手連盟、 International Karate Federation, IKF』の本部があり、全米15ヶ所に支部を置き、独自の稽古体系で選手の育成をしている。空手のアメリカナショナルチームの多くの選手が、小高氏率いるIKFの所属選手からだ。  アメリカ本土には空手のコーチが1万人はいるが、アメリカ人の世界チャンピョンを輩出しているのはハワイのIKFだけ。小高氏はそれほど空手のレジェンドなのである。

 

 今年、令和元年初に小高氏は日本国外務大臣より表彰された。1962年の全日本空手選手権で優勝以来、各国から指導に招聘され、世界にKARATEを広めた功績を称えられてのことだ。

 

 IKF本部があるハワイでは、小さな子どものお稽古ごととしてKARATEは大人気。小高氏の息子、ジョージ・コタカさんも3歳から空手を始め、世界チャンピョンに2度も輝いた。小高氏はこう話す。

 

「子どもが空手を習うと、真っ先に礼儀作法が良くなります。家の中でも、学校や社会の場でもきちんとあいさつができて、目上の人を敬い、仲間を大切にするようになる」

 

 

 

 アメリカはスポーツは盛んだけれど、学校の体育の授業はあまり熱心ではないので、空手をすることで基礎体力もぐんぐん向上するという。 「空手の基礎があると、サッカーやバスケ、野球などどんなスポーツをやっても、体の軸がしっかりしていて、運動神経も発達しているの で上達が早い。スポーツのコーチ達からは、ぜひ空手を続けてほしいと言われるほどです」

 

 来年の東京オリンピックでKARATEは初種目に選ばれ、男女各3階級、計6階級で競技が行われる。参加できる選手は80人の狭き門。今現在世界各地でプレトーナメントが行われ、選手達はポイントを稼ぎ、ランキングアップへ向けて熱い戦いが展開されている。

 

 小高氏のIKFは見学歓迎なので、一度道場を覗いてKARATEの魅力を感じてみてはいかがだろう。   

 

  

 

 

(取材・文 奥山夏実)

(日刊サン 2019.11.30)

 


国際空手連盟International Karate Federation,

IKF オアフ島には13箇所の道場があり、近くの道場の問い合わせや見学は下記へ

808−395−1774

www.ikfhawaii.com