ワードヴィレッジの開発業者ハワード・ヒューズが21日、コンドミニアム『ワイエア』を手掛けたノルディック・PCL・コンストラクション社を相手取り、ワイエアに膨大な欠陥があり、1年ほど前から入居が始まっているにも関わらず完成していないと提訴。ヒューズは7500万ドルを超える損害賠償を求めているが、ノルディック社は訴状内容を否認し法廷で戦う姿勢を見せた。
ノルディック社で地域マネージャーを努めるマイク・ベッツ氏は、ヒューズからの建設費用支払いが1年以上遅れており、ノルディック社がコンドミニアムの先取特権を持つことを恐れて今回の訴訟に至ったと考えている。「ハワード・ヒューズがこのような手段に出たことに失望しています。当社は法廷で戦い、行った業務の報酬が契約業者及び請負業者に確実に支払われるよう、必要な全ての手段を辞さない覚悟です」とベッツ氏は述べた。
ワードヴィレッジは60エーカーの工業地を4300戸の住宅と100万スクエア・フィートの小売店スペースに変換させる計画が建てられており、ワイエアは開発予定の16タワーのうち最初の1棟。波上のガラスの壁のデザインを施し、3500万ドルと3600万ドルの2戸のペントハウスが設けられ、ヒューズはワイエアがホノルルの素晴らしいスカイラインを彩り、品質の高さを表現し関心を呼ぶと表明していた。
ガラスの壁から室内に、戦闘機のような騒音被害
しかしヒューズは建物には問題があり、自社の持つ豪華で質の高い開発業者という評判が傷つけられたと主張。さらにワイエアのコストは予算よりも超過し、販売が遅れ、入居者は進行中の工事や欠陥に我慢を強いられていると訴えている。ワイエアは9月末までに171戸中158戸が完売し、さらに7戸の契約が進行中。訴状で膨大な欠陥の実例として挙げられているのが、ガラスの壁で、昨年の12月入居が開始された頃から大きな騒音が生じているという。ヒューズは法廷で、「戦闘機の轟音が集められたような音」がガラスのファサードから昼夜問わず発生しており、「タワーの中の大半の部屋から騒音がはっきりと聞こえ、所有者は多大な騒音被害を被っている」と陳述。同社は作業内容や使用した材質が粗悪である事が原因であり、ノルディック社は騒音問題に対応はしたが不十分だと加えた。さらに、ファサードが完成していない為雨漏りがするユニットがあり、完成しているはずのロビー、アメニティエリア、駐車場の床が未完成だと非難している。ノルディック社が着工したのは2014年中頃で、36階建てのタワーを昨年末までに完成させる契約を結んでいた。
原告によると、契約締結当初ワイエアの最大建設費用は2億7500万ドルまでとされていたが、後に3億300万ドルに増加。ヒューズは現在もノルディック社の大幅な予算超過と戦っている。ヒューズの最新の財務レポートでは、ワイエアの開発コストが4億1700万ドルと予想されており、そのうち販売コストは1260万ドルと公表された。同社は契約で明示された1900万ドルを差し引いた2億8400万ドルをノルディック社に支払い済みだと主張。ノルディック社は5月にヒューズが誤って3900万ドル以上を差し引いていると訴えた。ノルディック社は販売を停止させることが出来る物件の先取特権を主張するとヒューズに警告。ヒューズはノルディック社が下請け業者に他のヒューズの案件に関わらないよう勧めていると主張した。
ワードヴィレッジでは先月2棟目のタワー『アナハ』が完成し、『アエオ』と『ケ・キロハナ』の建設が進められている。
(日刊サン 2017. 12. 02)
写真引用 www.wardvillage.com