ハワイと沖縄のつながりは深く、ハワイに暮らす日系人の約半数もが沖縄にルーツがある。
日系の県人会の中で最も大きな“ハワイ沖縄連合会”は、総勢4万人を超えるメンバーが集い、ハワイの政財界で活躍する人も多く、デービッド・イゲ州知事も沖縄出身の日系三世だ。
沖縄の揚げ菓子アンダギーも、ローカルが大好きなスイーツとして定着し、ボンダンスの会場や、9月に開催されるオキナワン・フェスティバルで人気だ。その、アンダギー人気の仕掛け人がマーティン・アケミさん。マルカイ・スーパーの店頭やさまざまなイベント会場で、“アンダギーおばさん”として親しまれているが、ハワイと沖縄の文化交流にも尽力するスーパーレディだ。
マーティン・アケミさんは、琉球國祭り太鼓ハワイ支部の設立者
春のホノルル・フェスティバルや秋のオキナワン・フェスティバルで一番元気なパフォーマンスを見せてくれる「琉球國祭り太鼓」。沖縄の伝統芸能エイサーをベースに、空手の型を取り入れた独自の振り付けとダイナミックなバチさばきで、若者に大人気の創作太鼓集団だ。アケミさんは20年ほど前にホノルルでハワイ支部を立ち上げ、現在カウアイ島、マウイ島、ハワイ島にも支部があり、さまざまなコミュニティの行事で引っ張りだこだ。アケミさんは“太平洋文化交流協会ハワイ支部”の設立にも関わり、ハワイと沖縄の文化・芸能の架け橋として、イベントの企画・演出も積極的に手掛けている。
うらおそいとは、琉球王朝のはじまりのこと
中でも、沖縄の“琉球王国発祥の地”といわれる浦添市に残る歴史に着目。浦添は那覇の北10キロほどの地で、古琉球(12〜15世紀、本土でいう鎌倉から室町時代)時代の首都だった。ウラソエという地名は、「津々浦々をおそう、支配する」という意味のウラオソイからきている。ここには三代に渡る王の歴史があり、沖縄史の中では“三大王統の時代”と呼ばれている。アケミさんはこの歴史を丹念に紐解き、歌や芝居、語りや踊りをフュージョンさせた舞台「古琉球 うらおそい 三代王統」を制作した。 ハワイ沖縄センターで7月24日に初公演され、日出克や石川直也、与那覇歩、山城篤嗣、城間健市など、沖縄を中心に活躍するアーティストと、ハワイの沖縄舞踊や空手教室、そして琉球國祭り太鼓ハワイ支部および全国各地のメンバーがコラボレーション。 知られざる史実が明かされる文化的な演出と、沖縄とハワイが融合したエンターテイメントの楽しさが一体になった舞台を、700人以上の観客が楽しんだ。 満員の客席には、イゲ州知事、カーク・コールドウェル市長はじめ、沖縄から松本哲治浦添市長も臨席し、「ぜひ沖縄での凱旋公演も」とオファーしていた。
(取材・文 奥山夏実)
(日刊サン 2018.08.01)