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移民法 Q&A No.237【グリーンカード保持者との結婚】

皆さんAloha,

 

誤解されやすいことですが、グリーンカード保持者と結婚すれば、すぐにアメリカで自由に仕事をすることができるのか、というお問合せをいただくことがあります。しかし、グリーンカード保持者との結婚により得られる様々な権利を取得できるまでは、長い道のりがあります。これは、グリーンカード保持者の外国人配偶者による申請の優先順位が「優先親族」と呼ばれるカテゴリーに分類されるためです。

 

「優先親族」のカテゴリーは、年間で許可されるグリーンカードの数、および各国ごとに発行されるグリーンカードの数に制限があります。つまり、グリーンカードおよび労働許可書を申請する資格を得るまでに長い待ち時間があります。申請者の出身国にもよりますが、長くなると4~5年の待ち時間となります。日本出身者の場合、申請からグリーンカード発行までの待ち時間は、現在は約2年ほどです。

 

優先日が「Current」になり(優先日の順番があがってくる)グリーンカード申請の必要書類を提出し、ようやくアメリカに居住したり仕事に就く権利が与えられます。 明確なタイミングや手続きについては、申請者の出身国や現在住んでいる場所にもよります。

 

申請者が現在アメリカ国外に住んでいる場合は、優先日の順番が回ってくるのを待ち、グリーンカード申請書を管轄のアメリカ大使館・領事館へ提出します。申請が処理され、アメリカへ入国することが許可されてから、アメリカに住む権利や働く権利が与えられます。実際のグリーンカードは、アメリカへ入国してから数週間後に郵送されますので、それまではパスポートに押されるスタンプが、グリーンカード保持者としての証拠となります。

 

現在アメリカ国内に住んでいる場合は少し複雑になります。もし現在不法で滞在しているならば、ステータス変更が可能な場合もありますが大抵のケースでは当てはまりません。通常、優先日の順番が回ってきた際に、アメリカ国外の大使館・領事館にてグリーンカードの申請を行います。しかし、過去の不法滞在を理由にアメリカへの入国を拒否されるリスクがあります。

 

このようにグリーンカード保持者との結婚を通してのグリーンカード申請は、迅速なプロセスとは言えません。もし配偶者となるグリーンカード保持者が市民権の申請をすることができるならば、まず市民権を取得する方法もあります。アメリカ市民との結婚を通してのグリーンカード申請をする場合は、待ち時間や優先日もありません。大抵のケースでは不法滞在であってもステータス変更が可能となります。

 

ミチコ・ノーウィッキ 弁護士

ハワイ州弁護士 皆さんからの移民法についての質問等は [email protected]までお願い致します。
日本語OKです。

 

 

このコラムはクライアントからの質問を一般的に書き換えたものです。読者のお役に立てればと思いますが、あくまでも一般的なケースであって法的なアドバイスが必要な方は専門家にご相談ください。