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移民法 Q&A 【トランプ大統領就任により不法移民のシェルターである保護区域はどうなる?】

皆さんAloha,

 

 

トランプ大統領による移民法の改正案の一部として、保護区域(サンクチュアリ都市)への連邦資金の打ち切りの宣言をしています。これは、不法移民に避難所を提供しているコミュニティーから数十億ドルの援助を控えるということになります。ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスを含む200市以上が、移民税関捜査局に完全なる協力を提供しないと公然と述べていると、推測されています。トランプ氏が、実際に「保護区域への資金提供を阻止する」という約束を守れば、ニューヨークは約100億ドルを失う可能性があります。  

 

サンフランシスコ市長のエド・リーは、「保護区域の市であることは私たちのDNAである。サンフランシスコは、保護区域以外の都市には決してならない」とツイートしています。  

この問題は、「保護区域」という用語の定義が欠けていることにより、特に複雑なものとなっています。保護区域の中でも、他の都市に比べてより移民税関捜査局に協力している都市もあります。ワシントンDCのアーバン・インスティテュートのオードリー・シンガー氏は、「連邦政府の助成金によっては州によって管理されるため、どの連邦資金の種類が影響を受けるのかまだわかりません」と言っています。また、多くの保護区域では犯罪者である移民を取り除くために連邦当局に協力しており、連邦政府が最小限の協力レベルを確立できる可能性もある、と考えているようです。  

 

マサチューセッツ州のソマービル市長によると、「保護区域という言葉の意味は、地元の警察や地方自治体の機関が、住民に対して日常的な移民審査を行わないこと」であるが、「7万6千人の住民がいる市として、不法移民が重罪犯罪や暴力行為などを行ったときには、連邦移民局に協力する」という立場を取っています。1987年以来保護区域であったソマービルは、年間約600万ドルの連邦資金を受け取っています。これらが、教育、国土安全保障、学校の給食などのプログラムのために使われており、市の年間予算の約3%に相当します。この資金を失うとなると、非常に厳しくはなるが、「コミュニティーの価値を売るわけにはいかない」と市長は語りました。  

ソマービル市長と同意見の保護区域は少なくありません。ニューヨーク市長のブラジオ氏も、トランプ氏が、地方警察に連邦移民当局の仕事を引き受けるよう期待しないようにと言っています。実際に地方警察が不法移民を強制送還する動きを取れば、法執行業務に支障が生じ、都市の安全保持が難しくなることも考えられます。多くの都市が、保護区域としてのステータスを守り抜くと言っていますので、トランプ氏が計画実行へ移すには様々な抵抗に対応する必要があるでしょう。

 

 

(日刊サン 2017年1月19日)

 

ミチコ・ノーウィッキ 弁護士

ハワイ州弁護士 皆さんからの移民法についての質問等は [email protected]までお願い致します。
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このコラムはクライアントからの質問を一般的に書き換えたものです。読者のお役に立てればと思いますが、あくまでも一般的なケースであって法的なアドバイスが必要な方は専門家にご相談ください。