皆さんAloha,
今回のコラムでは、皆さんも関心の高い次期大統領となるトランプ氏が掲げる移民法改正案についてお話します。トランプ氏は、現在のアメリカの移民制度は、他国のニーズを自国のものよりも優先させており、トランプ氏の改正案は「働く人たちのニーズを優先する」政策だと言っています。以下に、トランプ氏が掲げる移民改正法案をまとめています。
まず、トランプ氏は、移民改革の3つの基本原則を掲げています。
1.国境のない国家は、国家ではない。南の国境には壁がなければならない。
2.法律のない国家は、国家ではない。憲法上の制度に沿った法律が施行されなければならない。
3.自国の市民を奉仕しない国家は、国家ではない。いかなる移民計画は、すべてのアメリカ人の雇用、賃金、そして安全保障を改善するものでなければならない。
これらの基本原則を実行するための様々な具体的方策案をここでいくつか紹介します。
①メキシコとの国境沿いに壁を建設する。そして、メキシコは国境の壁の経費を支払うまで、アメリカは違法賃金に伴うすべての送金支払いを停止する。
②不法移民問題に関しては、ICEオフィサーの数を3倍へ増加し、すべての外国人犯罪者は自国へ帰還させる。そして、自国の犯罪者を受け入れない国へのビザ発行は取り消す。
③不法で国境を越えて侵入した者は、母国へ帰されるまで拘束する。入国拒否された者に対してその場で釈放せずに、帰国するまでの間は収容施設に入れる。
④不法移民のシェルターとなっている保護区域(サンクチュアリーシティー)に関しては、連邦政府の法執行機関との協力を拒否する都市への連邦政府の助成金を打ち切る。
⑤何百万人もの人々が一時的ビザでアメリカへ入国するが、帰国を拒否している(オーバーステイ)者が増加している。これは国家の安全に対する脅威であり、ビザの有効期限が切れる時点で出国を拒否する個人は、刑事罰を受けるべきである。
⑥H-1Bビザの半分以上がプログラムの最低賃金レベルで発行されている。H-1Bビザの規定賃金を引き上げることで、海外の安い労働者ではなく、アメリカ国内の市民や移民労働者へ仕事を与えることが可能となる。
トランプ氏が実際に大統領に就任するのは来年の1月からですので、トランプ氏の改正法案がどの程度、実際に行なわれるかは不明です。しかし、勝利演説で「アメリカ人全員の大統領になる」と表明していたこともあり、過激および非現実的な政策は実行に移されないと考えられるでしょう。
(2016年12月09日 日刊サン)
ミチコ・ノーウィッキ 弁護士ハワイ州弁護士 皆さんからの移民法についての質問等は [email protected]までお願い致します。 |
このコラムはクライアントからの質問を一般的に書き換えたものです。読者のお役に立てればと思いますが、あくまでも一般的なケースであって法的なアドバイスが必要な方は専門家にご相談ください。