ダリル・タケノ弁護士(右)
トランプ大統領の入国禁止に関する大統領令を受け、国土安全保障省は、外国人の入国審査を厳格化する準備を進めています。審査手続きの強化は、ビザ(査証)なし渡航が認められている日本人にも適用されています。本記事ではビザウェーバープログラムでの渡航者が入国する時の、注意事項について紹介します。
ビザウェーバープログラムを利用して渡航する場合とアメリカに渡航する前にビザを取得する場合とでは何が違うでしょうか?
日米間に取り決められているビザウェーバープログラム(以下「ビザウェーバー」)の下で、日本人は渡米目的が90日以内の観光や限定的なビジネスであれば、ビザ取得が免除されています。このようなビザウェーバーにより渡米には、事前のESTA(「エスタ」)による認証が必要で、インターネットサイトから申請できます。コストと処理する期間の面でもアメリカ大使館でビザを取得することより、多くの日本人にとってビザウェーバーを利用した方が便利でしょう。
しかし、ESTA申請が承認されても入国手続きは自動的なものでなく、もし入国審査官に足止めされ、入国不適格と判断された場合、米国への入国を拒否されることがあります。入国不適格と判断された場合、ビザウェーバーを利用したか、ビザを取得したかにより、大きな違いが出てきます。ビザウェーバーを利用した場合、前述の通り、ビザを取得する義務を免状されますが、入国の際、入国拒否に対して反対する訴えをする権利も放棄しています。その結果、ビザウェーバーによる渡航者は次の便で日本に送り返されることになります。一方、ビザを取得した場合、移民法裁判官の前でその入国審査官の判断に対して裁判の手続きをすることが可能になります。
ビザウェーバーによる渡航者が気を付けなくてはいけないことを教えてください。
まず、入国の際、嫌疑を掛けられない態度で臨むことが第一歩です。スマートフォンのデータ、メモ帳、財布の中身等、空港で所持するものが全て入国審査官に捜査される可能性があります。そのため、空港に向かう前に荷物を慎重に検査した上、不審なものを家に残しましょう。
そして、最近、ホノルル国際空港では入国審査官が、あなたは観光客ではなく米国で仕事を始める予定あるいはビザウェーバーで許可されている活動内容と違う仕事をする予定と疑われる事件が増加しています。そのため、頻繁にビザウェーバーで米国入国を繰り返している場合、あるいは米国での活動が許可されているか分からない場合、アメリカ大使館や領事館でB-1商用ビザやB-2観光ビザ等を取得することをお勧めします。
(日刊サン2017. 8. 1)
ダリル・タケノ 弁護士ハワイ出身の移民法弁護士。日本での留学・勤務経験を生かし、日本人のお客様にわかりやすく法律サービスを提供している。英語だけでなく、日本語での移民に関する相談も受け付けている。 ウェブ: http://www.migrationcounsel.com E-mail:[email protected] |
お断り:質問形式のコラムになっていますが、すべての場合が当てはまるわけではないことご了承ください。 法的なアドバイスを必要としている方は専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。