トランプ大統領が国境での取り締まりを一層厳しくするよう、税関国境警備局(CBP)に命じました。そして、CBPの職員により、電子機器やSNSのアカウント等を捜索される事件も増加しています。本記事では永住権保持者に対して国境を越える際、どんな法的権利を持っているかについて紹介します。
Q:空港で足止めされた場合、永住権保持者にどんな法的権利があるかについて教えてください。
A:国外退去処分となる場合、外国からの訪問者と異なり、永住権保持者には通常、移民裁判官による審理を受ける権利があります。そして、永住権保持者がアメリカ国外に長期滞在した場合、CBPの職員が永住権を破棄させるような書類に署名させることがありますが、当書類への署名を拒否してもマイナスの結果をもたらさないはずです。もしCBPが捜索した結果、相手が永住権を放棄したと見なされた場合でも、アメリカへの入国が許され、アメリカ国内で審理を待つことができます。
Q:持ち込む電子機器の中身を調べられることを拒否した場合、どうなりますか?
A:通常、アメリカ国内にいる場合、米憲法の下で犯罪に関与した疑いなど正当な理由なしに捜索や押収を行うことが禁じれらています。しかし、国境ではこの権利が適用されません。国境では正当な理由や不信を抱かせる合理的な理由がなくても、アメリカ人も永住権保持者も捜索を受ける可能性があります。空港でスマートフォンやSNSのアカウントの内容等のCBPによる捜索が増加しています。もしその捜索を拒否した場合、CBPは次の対策のいずれかを取ることができます。
●同意するまで相手を拘束すること
●司法妨害罪の疑いで逮捕すること
●当電子機器を押収すること
従って、このような事態に直面しないように、普段使うスマートフォンやパソコンは持参せず、もし重要な情報・書類がある場合、サーバーに保存した方が良いでしょう。
Q:空港で二次検査に送られた場合、弁護士との面会を要求できますか?
A:一般的に永住権保持者には二次検査を受ける場合、弁護士との立ち会いを求める権利がありません。また、アメリカへの入国を求めている親戚等が二次検査で拘束されているかとの疑いがある場合、ホノルル空港のCBPオフイスは、特定の人物を拘束しているかどうかについても開示しません。
ただし刑事事件で立件され、拘束されている場合、弁護士を呼ぶ権利があります。その場合、CBPから移民税関捜査局(ICE)へ身柄を引き渡された時点で、弁護士を呼ぶ権利を取得します。
ダリル・タケノ 弁護士ハワイ出身の移民法弁護士。日本での留学・勤務経験を生かし、日本人のお客様にわかりやすく法律サービスを提供している。英語だけでなく、日本語での移民に関する相談も受け付けている。 ウェブ: http://www.migrationcounsel.com E-mail:[email protected] |
お断り:質問形式のコラムになっていますが、すべての場合が当てはまるわけではないことご了承ください。 法的なアドバイスを必要としている方は専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。