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移民法 Q&A No.43【EB-2申請者が国益免除を申請する場合の資格基準緩和】

大学院卒者等の雇用を通してグリーンカード申請者が国益免除(National Interest Waiver)を申請する場合、米国移民局(USCIS)は2016年12月27日にその申請を検討する新しい資格基準を発表しました。これにより、事業家を含み、より多くの申請者が国益免除の条件を満たせるようになると考えられています。

 

法的背景:

雇用を通して永住権を申請する場合、4つのカテゴリーがあり、EB-1(第一優先枠)からEB-4(第4優先枠)まで分かれています。修士号以上を持った専門職、又は学士号を保持し少なくとも5年の職務経験を有する方、科学、芸術又はビジネスの分野で、特別な能力のある方がEB-2という優先カテゴリーに該当します。EB-2で永住権を申請する場合、雇用主スポンサーが必要です。

 

通常の申請手続きは、まず米国労働局より労働認定書(Labor Certification)を取得する必要があります。労働認定書を取得するためには、雇用主スポンサーが新聞やインターネット等で人材募集(PERM)を行い、該当する能力と意志を持ったアメリカ人が存在しない事を証明しなければなりません。もしその人材募集により、広告を掲載した職に対して資格のある適切なアメリカ人が見つかった場合、外国人労働者の方がより相応しくても、それ以降、永住権申請するプロセスに進めません。

 

しかし、USCISの裁量でスポンサーと労働認定書を取得する義務を免除することができます。この申請はNational Interest Waiver (国益免除)と呼ばれ、以下の条件を満たさなければなりません。

 

1.EB-2の申請資格(修士号以上を持った専門職)があること。
2.労働認定書の条件を免除することが国益になるものである。

 

上記の「国益」はアメリカ移民法の下で定義されていないため、1998年に出された先例以降、国益免除申請が制限的資格基準で検討されています。その結果、科学・技術・工学・数学の分野で活躍している方を除き、国益免除申請を承認されることが困難でした。それを背景にしてUSCISが従来の資格基準を見直し、より柔軟な資格基準を採用しました。

 

国益免除の資格基準:

新しい資格基準の下で国益免除申請者は、以下の条件を優位な証拠によって証明する義務があります。

1.申請者が提案された活動は、大きなメリットと国家的な重要性の両方を有している(地域として利益となる活動と、事業家が米国人の雇用を生み出すようなビジネスは国家的に重要性があると認められる場合がある。)

2.申請者が提案された活動を推進できる位置を占めている(50%以上の確率でその活動で成功すると証明する条件がない。)

3.あらゆる点から見て労働認定書を取得する義務を免除することは米国にとって有益なものである。

 

この約20年の間に、国益免除申請の融通が利かない資格基準で検討されたため、高い却下率が続きましたが、この新しい資格基準の下で、より多くの申請者が国益免除を入手できるようになる可能性が出てきました。

 

 

ダリル・タケノ 弁護士
ハワイ出身の移民法弁護士。日本での留学・勤務経験を生かし、日本人のお客様にわかりやすく法律サービスを提供している。英語だけでなく、日本語での移民に関する相談も受け付けている。
ウェブ: http://www.migrationcounsel.com
E-mail:[email protected]

 

 

お断り:質問形式のコラムになっていますが、すべての場合が当てはまるわけではないことご了承ください。 法的なアドバイスを必要としている方は専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。