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Wine at home vol.9 人気の白ブドウ品種「ソーヴィニヨン・ブラン」を知る

カベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネ、メルローなど、世界中で栽培されているブドウ品種は『国際品種』と呼ばれています。そのなかでも、栽培される国によって個性が強く現れるのが、ソーヴィニヨン・ブランです。今回、ここでは白ワイン用の国際品種でも有名なソーヴィニヨン・ブランについて紹介します。

 

世界で人気の白ブドウ

ソーヴィニヨン・ブランはフランス・ボルドー地方原産の白ブドウです。樹の生長が強く、適応能力の高いブドウなので世界に広がり、およそ8万ヘクタール以上の栽培面積を持つといわれています。フランスはもちろん、アメリカやチリ、イタリアなど幅広い地域で育てられています。特にニュージーランドでは評価が高く、華やかな香りが非常に特徴的であるといわれています。

 

ソーヴィニヨン・ブランの香り

ソーヴィニヨン・ブランの香りの特徴は、柑橘系の香りやハーブといわれています。メトキシピラジンという物質を含んでいるため、カシスの新芽を思わせる香りを持っています。冷涼な地域の場合は、青リンゴを思わせるフレッシュな香りが際立ち、温暖な地域になると完熟したリンゴを思わせる香りを感じることができます。 また、ワインの面白いところなのですが、ロワールやニュージーランドで造られるソーヴィニヨン・ブランの中には、『ねこの尿』の香りを持つものがあります。決してネガティブ要素ではなく、ポジティブな表現として使われています。

 

ソーヴィニヨン・ブランの味わい

ソーヴィニヨン・ブランの香りは、清涼感のあるグレープフルーツが特徴ですので、味わいも比較的軽めでフレッシュなものが多く見受けられます。また、後口がまろやかというよりは、やや軽い苦みを感じるところがポイントです。 また、フランス・ロワールで造られるソーヴィニヨン・ブランは樽を使わず、主にステンレスタンクで醸造されますが、ボルドーでは樽を使い、ややリッチでボリューム感のある味わいに仕上げています。当然ですが、前者の方が軽く、後者がまろやかな味わいとなります。

 

カリフォルニアで驚きの進化を遂げた!?

1970年代に入る前まで、ソーヴィニヨン・ブランは完全にロワールの名産品のように扱われていました。しかし、1971年にカリフォルニアワインの父と呼ばれる『ロバート・モンダヴィ』が発売した、ソーヴィニヨン・ブランを小樽で仕込んだ「フュメ・ブラン」が大きな話題を呼びます。結果、大ヒットを遂げたことで、カリフォルニアでもソーヴィニヨン・ブランが大流行。当時、カリフォルニアで300ヘクタールほどしかなかったこの品種ですが、これをきっかけに20年後には、5,000ヘクタールまでになったといわれているのです。

 

ニュージーランドの成功

この成功を受け、ワインの新世界でもソーヴィニヨン・ブランが徐々に広まっていきます。その筆頭がニュージーランドでした。そして1985年、NZ南島のマールボロにある「クラウディ・ベイ」が販売したソーヴィニヨン・ブランが、世界的に大ヒットします。この成功が、ニュージーランドがワインの銘醸地として歩み出す第一歩となっており、ソーヴィニヨン・ブランによってワイン産業の未来が切り開かれていったのです。

 

飲み比べを楽しむ

ソーヴィニヨン・ブランは産地や醸造法によって顔つきを変化させます。ぜひ、さまざまな地域のソーヴィニヨン・ブランを試し、お気に入りを見つけてみてはいかがでしょう。

 

ナカゴミコウイチ
東京都在住。ワイン好きの裾野を広げるため、WEBサイトを中心にワインコラムを執筆しています。