ファッションにもトレンドがあるように、ワインに使用される「ブドウ品種」にもトレンドがあります。例えば、日本でも高品質なピノ・ノワールの赤ワインがつくれると分かると、数多くのメーカーがピノ・ノワールを栽培し始めました。
このように、「この土地にこの品種は合う」ことが分かれば、それを取り入れる生産者が増加するという構図がワイン業界の定説です。今回、2017年にアメリカにおいてトレンドとなっている品種についてを紹介します。
アメリカの各生産地のトレンド
カリフォルニアはジンファンデル回帰
20万ヘクタールほどのブドウ栽培面積を持つ、アメリカ最大のブドウ産地がカリフォルニア州です。カベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランなど、誰もが知っている国際品種で素晴らしいワインを多く製造する銘醸地です。
カリフォルニアといえば、ジンファンデルという黒ブドウが有名ですが、実は今このジンファンデルを使用したワインが再度注目を浴びています。
ソノマやパソ・ロブレス、ロダイにジンファンデルの古樹が残っており、それらから繊細でエレガントな赤ワインをつくり新潮流系のワインメーカーが増えているようです。
ワシントン州は定番品種がトレンド
カリフォルニア州に次ぐブドウ栽培面積を誇るのは、ワシントン州です。リースニングやシャルドネ、ピノ・グリ、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、マルベックなどの定番品種が多く栽培されています。
ワシントン州では近年、赤ワインの生産量が増加傾向にあるといわれています。エレガント系に回帰した新潮流を汲む生産者の増加にも影響しているかもしれませんが、そのため誰もが知る国際品種がトレンドとなりつつあるようです。
シラーに大きな注目が集まりながらも、カベルネ・ソーヴィニヨンに回帰する生産者が多く、原点へと戻るという動きが見え始めています。
オレゴンはピノ・ノワールを強化
オレゴン州は、今やブルゴーニュ地方に次ぐ、最高品質のピノ・ノワールが生まれる産地として大注目を浴びている場所です。そのため、ピノ・ノワールの栽培面積が増加傾向であり、今後も注力し続けていくことが見込まれます。さらに、白ブドウも世界的に注目されているピノ・グリが増加傾向にあるようです。
ニューヨーク州が面白いと話題
ワインの評論家のなかには、ニューヨーク州が今後面白いブドウ産地として注目されるだろうという方がいます。生食用ブドウを多く栽培していたニューヨーク州ですが、今は品質の高いメルロやリースニングを使用した甘口白ワインが高い評価を獲得し始めています。今後も国際的に通用するワインがつくれると分かったことで、メルロやリースニングなど、有名な国際品種がトレンドとなっているようです。
ワインのトレンドで食の今を知る
ワインのトレンドは、その国の食文化に大きく左右されます。繊細な和食が流行れば繊細なワインが求められますし、分厚い重厚な肉食文化がトレンドとなればタンニン豊富なボディ感のある赤ワインが流行ります。
ワインの世界にも、さまざまなトレンドがありますので、ぜひ気になった方は調べてみてはいかがでしょうか。
ナカゴミコウイチ 東京都在住。ワイン好きの裾野を広げるため、WEBサイトを中心にワインコラムを執筆しています。 |