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Wine at home vol.10 ワインは、賞味期限ではなく「飲み頃」に着目しよう!

ワインには賞味期限がある。ワインは繊細なお酒であるが故に、賞味期限があると思われていても不思議ではありません。しかし、ワインで気にするべきは「飲み頃」です。ここでは、ワインの賞味期限や飲み頃についてお伝えしましょう。

 

ワインは熟成する

ワインは、瓶内に入っている状態でも数年、数十年と持つお酒です。ワインの中には、ワイン由来の天然の酸化防止成分が多く含まれていることや、タンニンやポリフェノールなどが液体中の成分と反応することで熟成するからです。仮に、ボトルを抜いてみたら、カビが生えていたとか、腐敗臭がした……。こういった場合は、瓶詰めされる前のワインの製造工程で問題があったからだと考えられます。

 

ワインの劣化は酸化と細菌

ワインのコルクを抜き、数日間放置していたら、香りが酸っぱい状態になっていたとします。これは、空気中の酸素と液体中のエタノールなどが反応して、酢酸が増加しているだけであり、味わいにおける酸味の増減はありません。また、仮に液体が酸っぱくなっていた場合は、ある種の微生物が液体中に入り込み、増殖することで起こる酸敗といった現象です。カビ菌などが増殖している場合は危険ですが、前者の酢酸が増えている状態であれば、料理酒としても使えるので、飲めないわけではありません。

 

ワインは飲み頃を気にすること

ワインは、細菌が入り込むなどの外的要因からの影響がない場合、腐ることはありません。つまり、賞味期限というものはないのです。ただし、味わいは劣化します。そのため、ワインは賞味期限を気にするのではなく、飲み頃を気にすることが重要です。先述した通り、ワインにはタンニンやアントシアニンなどの熟成に必要な成分が多く含まれています。とはいえ、赤・白・ロゼ・スパークリングと、それぞれに使われる品種や目指すスタイルが違います。フレッシュさが売りの白ワインを数年も放置していれば、飲み頃は過ぎていきます。赤ワインも早く飲んだ方が安心と思い込み、熟成向きのものを若い状態で飲んでしまえば、おいしく感じないかもしれません。ワインの購入の際には、「このワイン、どれくらい持つの?」ではなく、「このワインはいつ頃が飲み頃?」と聞くことが正しいのです。

 

上手な保存方法

飲み頃のワインを抜栓した後、その味わいを数日間楽しみたい方も多いはずです。前述した通り、ワインが美味しくなくなるとしたら、それは空気中の酸素との接触による影響です。ワインが減れば、ボトルの口部分から液体部分までに空間が広くできます。抜栓すればその隙にボトル内に空気が入ってしまうために、ボトル内のワインは酸素と接触しやすい状況になってしまっています。そこで、炭酸飲料が入っていたハーフボトルのペットボトルにワインを移し替えてしまうのです。ボトル内での空気接触の危険性が軽減される上に、炭酸飲料であることから、スクリューキャップも強い密閉型です。少し、風情がなくなるかもしれませんが、飲み頃のワインをおいしく飲み続けるコツですよ。

 

ナカゴミコウイチ
東京都在住。ワイン好きの裾野を広げるため、WEBサイトを中心にワインコラムを執筆しています。