アメリカのキッチンには一家に一台スロークッカーがあると聞いたことがあったけれど、大げさではなかった!
ホノルルキリスト教会のメンバーが一人日本に帰ることになり、スロークッカーを教会にドネーションしてくれた。これで何を作るのと尋ねると、「醤油チキンやカルアポーク、おでんとかミネストローネも作るよ」とのこと。私はキャベツ入りのカルアポークが大好き!
スロークッカーでカルアポーク
前にもこのコラムに書いたけれど、カルアポーク食べたさに、カリヒのヘレナズにまでいそいそと出かけて行くほど好き。もともとはルアウで、土を掘り地中で蒸し焼きにする豚の丸焼きだから、手間も時間もかかり、家庭で作れるなんて思いもよらなかった。
ところがチャーチのカナコは、「豚、塩、リキッドスモーク投入、以上。正真正銘、朝メシ前のカンタンさだよ。夜Lowにセットしてスイッチを入れておけば、朝、ほろほろでジューシーなカルアポークが勝手にできてるんだから」と、人ごとならぬ、スロークッカーごとのように宣う。
私は頼み込んだ。そんなにカンタンなら教会のランチで作って〜! そうしたらランチ当番全員、うちにスロークッカーがある派。一家に一台の都市伝説は真実だった。
土曜日の夕方、教会のキッチンにスロークッカー全員集合。コスコで調達した、豚16パウンドを切り分けて4台のスロークッカーに投入。大さじ1の天然塩と、リキッドスモークなる液体も大さじ1、肉にまぶす。
私はリキッドスモークの存在も初めて知った。BBQの時に肉に風味付けをするそうで、いろんなブランドがある。舐めてみたら、焚火の中に口を突っ込んだみたいに、燻した木の味が襲いかかってきてびっくり。夜、歯を磨くまで口中が燻製だった。
これで完了。油も水分もなんにも要らないのだという。所要時間は5分以下。
2本のフォークで、初のシュレッド!
朝、礼拝の前にキッチンに行ったら、ミエコがキャベツをざく切りしていた。「シュレッドしてくれる? 2本のフォークでやると簡単にほぐれるよ」
そうか、肉をほぐすことはシュレッドと言うのか。箸じゃなくて2本のフォークというのも何かアメリカン。新鮮な気持ちでフォークで突っつくと、肉が繊維に沿って、面白いようにホロホロとシュレッドできる!
「礼拝が終わったら、スロークッカーにキャベツを足して、30分くらい加熱したらできあがり、簡単でしょ」わ〜い、上出来!
ホノルル教会のランチに来ませんか
この日は関真士牧師から、ランチ・ミニストリーのレクチャーも聞き、なぜホノルル教会にランチが必要なのか、再確認しあった。「教会は神の家族の集まりだから、ランチは良き交わりの時間」、「和解の場にもなるし、絆を深める場にもなる」。聖書の使徒の働き6章1〜6にも、食膳の配給の量に差別があって苦情が出たという箇所がある。作るのもサーブするのも、相手への思いやり、愛があってこそのチャーチごはんだ。 ぜひ一度、ホノルル教会のチャーチごはんを食べに来てください
(日刊サン2018.1.19)
奥山夏実 おくやまなつみ●フリーランスライター 『クロワッサン』の特約記者を25年続け、東京を拠点にハワイは毎年、半年ほど滞在。近著に『ココナッツオイルバイブル1、2』、『HAWAII 住むように暮らす』(ホノルルの博文堂でも発売中)など。 |