この季節、私が好きで好きでしようがないのがカラマンシーだ。2〜3センチ大の柑橘類で、皮は甘く果実はほどよく酸っぱい。キンカンのように皮ごと食べたり、ユズやスダチのように鍋料理に絞り入れたり。絞った皮は千切りにして、大根なますやキャベツのもみ漬けなどに加えると、柑橘類の爽やかな香りが味を引き立ててくれる。
野生種でなく交配種、 年に4回も実をつけるから、四季柑
昔は野生種と思われていたカラマンシーだが、実はオレンジとキンカンを交配して生まれたというのが現在の定説だ。フィリピン料理には欠かせなく、四国の人が魚料理にもお寿司にもお味噌汁にまでスダチを使うように、フィリピン人はあらゆる料理にカラマンシーを使うのだという。
ハワイにはフィリピーノが多いから、きっとかの国からハワイに持ち込まれ、栽培されるようになったのだろう。
このカラマンシーは実に多産で、年に4回も結実してくれる。だから日本語や中国語では、四季柑と呼んでいる。
ハワイの庭にカラマンシーが植えてある友人は、どっさり分けてくれてありがたいのだが、私はもっと独り占めしたい。カラマンシーと暮らすために、庭付きの一軒家に引っ越したいほどだ。私の名前は夏実で、小さな頃はよくナツミカンと呼ばれていた。よく、あなたは犬派?それとも猫派?と話したりするが、私ならミカン派と答えたい気分。そしてカラマンシーナツミと改名できることを、新年の夢としたい!?
カラマンシーのビタミンCは シークワーサーの8倍!
チャイナタウンやオーガニック系のスーパーで売っているカラマンシー。ほんのり甘い皮ごと食べられるから、ビタミンやポリフェノールなどの健康成分が丸ごと吸収できる。果肉より、皮や白いワタに栄養が集中しているからだ。
美肌効果、免疫力アップ、老化防止に欠かせないビタミンCはシークワーサーの8倍、ポリフェノールのビタミンPも豊富で、悪玉コレステロールの軽減、脂肪燃焼&分解作用などがある。
教会の仲間は、カラマンシー入り 大根なますが大好き
私はホノルルキリスト教会のメンバーで、月に2回ほどランチ当番をする。その時、副菜に大根なますを作ると、とても喜んでくれる。ベトナムのバインミーなどで、大根なますを食べ慣れているからなのか、日本での大根なます人気より、ハワイでの支持率のほうが高いように感じる。
作るポイントはまず切り方。“なます切り”という切り方があるように、大根と人参は斜めの角度で千切りにすると、繊維をほどよく断ち切り、シャキッと感としんなり感が共存できる。チャーチの仲間の美恵子さんは、「米酢にアップルサイダービネガーを加えると、軽やかでフルーティになるよ」と教えてくれた。芳子さんは、「日本の感覚より甘めにしたほうが受けがいいの」と味見をしてくれる。
そしてカラマンシーの皮のご登場だ。このほの甘く、柑橘類ならではの芳香!
そうだ、チャーチの裏庭に植えさせてもらおうかな。
(日刊サン 2018. 1. 05)
奥山夏実 おくやまなつみ●フリーランスライター 『クロワッサン』の特約記者を25年続け、東京を拠点にハワイは毎年、半年ほど滞在。近著に『ココナッツオイルバイブル1、2』、『HAWAII 住むように暮らす』(ホノルルの博文堂でも発売中)など。 |