ミシュラン三ツ星、京都の菊の井がオープンしたサロンで食べた抹茶パフェ。贅を尽くした美味でした。
親友のムスメと広島と京都に行ってきた。生まれた頃から親族のように可愛がってきたムスメへの、二十歳のお祝い旅行だ。8月からLAの大学に留学するので、広島の原爆についてぜひ知っておいてもらいたかったから。
ハワイで人気の抹茶カフェ、 舞妓が原宿に凱旋・逆輸入!
羽田空港でスタバに入ったムスメは、「新発売のチョコレートケーキフラペチーノウィズマッチャを食べたい」と言った。スイーツに弱い私は、カタカナ部分が何をさしていてるのかさっぱりわからなかったけど、黙ってお金を払った。
出てきたのは、抹茶ラテにアイスクリームと生クリームとチョコクッキーがトッピングされているもの。ムスメは、「スタバはマッチャのドーナツもスコーンもおいしいよ。今年はファミマのマッチャフラッペもおいしくて、ホワイトチョコチップが入っているの。マイコもチョーおいしかった」と話しながら食べた。舞妓? 舞妓って京都の?
「エー知らないの?! ハワイのマッチャカフェマイコがこないだオープンしたんだよ。表参道、行列だよ」
ハタチのネットワークはなんて高速なんだ!
私も友人に誘われてワイキキ舞妓のソフトクリームを食べたことがある。濃厚な抹茶味のソフトクリームの上にさらに抹茶パウダーがトッピングされていて、抹茶を食べた感が満載だった。
NYでも抹茶専門店ができたというし、ほんとうにMatchaは世界的なブームなんだな。
表参道に逆輸入された、ハワイ舞妓の抹茶ソフトクリーム。
正式な抹茶は、碾茶(てんちゃ)を 茶臼(ちゃうす)でひいたもの。
究極の緑黄色野菜といわれる緑茶。旨味成分やビタミンC、カテキンなど、お湯に溶ける成分を抽出して飲む緑茶と違い、茶の葉を丸ごといただける抹茶は、健康的な栄養素の宝庫だ。βカロテンやビタミンEなど、水に溶けない脂溶性の栄養素や食物繊維を余すところなく摂取することができる。旨味と甘味に長けたテアニンというアミノ酸も豊富で、この成分は脳や神経細胞を正常に保つのにも役立つ。まさにスーパーフードなのだ。
抹茶の製造工程は、他の緑茶と大きく違う。一般的な日本茶は太陽の元で成長した若葉を刈り取って作られる。ところが抹茶の原料となる碾茶は、収穫までの20日間以上を、太陽を遮った覆下(おおいした)の元で育て、新芽だけを摘んで作られる。摘んだ新芽は蒸した後、揉まずに乾燥させ、葉脈や茎など固いところを取り除いて細片にする。碾という漢字には、臼で引くという意味があるから、抹茶専用に製造された茶葉のことを碾茶というのだ。
空前の抹茶ブームで、煎茶などの茶葉農家が、覆下で遮光する碾茶栽培に乗り換えているらしいが、それでも正式な抹茶は流通している1/3ほどで、あとの2/3は、遮光せずに栽培した緑茶の、茎なども残ったままの番茶を紛糾機でパウダー状にしたもの。抹茶ではなく粉茶だ。
お菓子などの食材用の抹茶は、この粉茶が使われていることが多い。ニセ抹茶と思うか、粉茶でもよしとするか? 着色だけはして欲しくないんだけどなあ。
(日刊サン 2017/7/14)
奥山夏実 おくやまなつみ●フリーランスライター 『クロワッサン』の特約記者を25年続け、東京を拠点にハワイは毎年、半年ほど滞在。近著に『ココナッツオイルバイブル1、2』、『HAWAII 住むように暮らす』(ホノルルの博文堂でも発売中)など。 |