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HAWAII! OISHII! ハワイイ! オイシイイ! Vol.48

Bynikkansan

4月 8, 2017

材料は、みりん粕、リファインのココナッツオイル、抹茶、好みでナッツやドライフルーツ。抹茶の代わりにココアパウダーを加えれば、チョコボールに!

 

日本のスーパーよりコアな伝統食品を売っているニジヤで、“みりん粕”を見つけた。みりん粕は、私が好きな小説家、高田郁さんの『みをつくし料理帖』を読んで初めて知った食材だ。江戸時代の女料理人の細腕繁盛記を描いたこの小説には、慎ましく賢く、季節に寄り添った珠玉の和食が登場する。みりん粕は、主人公の幼な友達で、今は吉原に売られた仲良しの友と食べた甘味。

 

甘味が少ない昔、女こどもの おやつに食べられたスイーツ。

実際、江戸中期の書物、『和漢三才図会』(わかんさんさいずえ)にも、みりん粕は記されている。 そもそもみりんは、焼酎に蒸したもち米と米糀を加え、40〜60日熟成させて作る発酵食品だ。もち米のでんぷん質が発酵により糖化して、自然の甘みをかもす。ブドウ糖や麦芽など、9種類もの糖に分解されるから、白砂糖より奥行きのある甘みになる。

米糀の豊富なアミノ酸に加え、糀菌にはビタミンB群が大量に含まれている。だからみりんは、江戸時代の人にとって、高価な栄養ドリンクのような存在でもあった。事実、調味料として用いられる以前は、高級酒として飲まれていたという。 残念なことに、現在スーパーなどで売られているみりんは、アルコールや水あめ、その他もろもろの添加物で作られた、人工的な“みりんもどき”が大半であるけれど。

 

みりん粕には、注目の レジスタントプロテイン含有。

みりん粕は、健康食品としても一躍脚光を浴びている。レジスタントプロテインという物質がみりん粕には多く含まれていると、日本健康医学会で発表されたからだ。 レジスタントプロテインはタンパク質の1種で、食物繊維に似た働きをする。胃では消化されにくく、そのまま小腸へ進み、腸内の脂質にくっついて体外へ排出する働きを持っているのだ。便秘改善や、血中コレステロールの低下、肥満防止などが期待できる、古き良き健康食品なのだ。

 

 

風雅な和菓子、ただ混ぜるだけ! お正月、おせち料理にいかが。

で、前回は“みりん粕コチジャン”を作った。今回はみりん粕の甘みを生かした和菓子“抹茶玉”をば! といっても、作り方はただ材料を混ぜて丸めるだけ。 みりん粕200gに対して、抹茶大さじ2、ココナッツオイル(無味無臭のリファインを使用)大さじ2、好みでナッツやドライフルーツ、以上。 みりん粕に、溶けている状態のココナッツオイルと抹茶を加え、手で練る。練り具合は、よく練って良し、白とグリーンのマーブルでも良し。ナッツやドライフルーツを加えて、一口大にコロンと丸める。クーツキーの型でくり抜いても可愛い。で、でき上がったら最低30分、冷蔵庫で寝かせる。ココナッツオイルを25度以下にして固めたいからだ。オイルが固まると歯ごたえが生まれておいしい。だから保存は冷蔵庫で。 お正月のお屠蘇も、元はといえば本みりん。今年はおせち料理に、みりん粕の抹茶玉を加えてみてはいかが。

 

 

奥山夏実 おくやまなつみ●フリーランスライター


『クロワッサン』の特約記者を25年続け、東京を拠点にハワイは毎年、半年ほど滞在。近著に『ココナッツオイルバイブル1、2』、『HAWAII住むように暮らす』(ホノルルの博文堂でも発売中)など。