カイムキ“マッド・ヘン・ウォーター”のビーツのポケ、アボカドのマッシュ添え。下はワイキキ“マヒナ&サンズ”のバー。夜はインドアのダイニングもオープン。
前回に引き続き、ビーツ愛を語りたい。
“食べる輸血”と呼ばれるほど、健康効果の高いスーパーフードのビーツ。特筆すべきは、その色と旨味成分だ。
5000種以上あるポリフェノール、 ビーツはアサイーよりも高含有。
まず色は、血に例えたくなるほど深いブラッディ・レッド。この色素はベタシアンというポリフェノールの一種だ。そもそも野菜や果物など植物の色には、紫外線から身を守るため抗酸化作用の強いポリフェノールが備わっている。 ポリフェノールの種類は5000種以上あると言われ、ブドウの皮やブルーベリーの色にはアントシアニンというポリフェノールが多く含まれている。スーパーフードとして人気のアサイーには、そのアントシアニンがブルーベリーの18倍も含まれているのだが、なんと、ビーツのベタシアンはアサイーより強力で、全ポリフェノールの中でも超トップクラスを誇る。体がサビるのを防いで、若々しさを保ってくれる、アンチエージング野菜の代表なのだ。 そしてさらに、ビーツの旨味成分であるアミノ酸は、“一酸化窒素(NO)”を多く作り出す。このNOには、血流をよくする働きや、血管の筋肉を強くしなやかに収縮できるようにする作用がある。 ビーツが“食べる輸血”と賞されるゆえんは、NOが多く含まれているから。NOは年齢とともに体内で作る力が衰えるので、外から積極的に補う必要がある。人は血管から老いると言われるから、ビーツをもっと食べてほしい。
洒落たプールサイドダイナーで、 ビーツのケチャップ発見!
ハワイのロコフードをヘルスコンシャスなレシピに昇華させて人気のシェフ、エド・ケニーさん。彼はレストラン“タウン”や“スーパレット”、“マッド・ヘン・ウォーター”などを立て続けに出店し、カイムキをグルメエリアにした立役者だ。 私はマッド・ヘン・ウォーターのシグネチャーメニュー、“ビーツのポケ”が好き。そういえばビーツとマグロの赤身って似てる!
エドさんはポケというハワイの伝統料理に最大限の敬意を称し、味付けはトラディショナルポケそのもの。伝統的な調味料の、ククイナッツとハワイアンソルトをすりつぶした“イナモナ”をちゃんと使い、海草のオゴでビーツを和えてごま油風味。白い渦巻き模様のフレッシュビーツを添えているのもニクい演出!
そして今年、エドさんは満を持してワイキキのど真ん中に4店目となる“マヒナ&サンズ”をオープン。場所はブティックホテルとしてリノベした、ザ・サーフジャックホテルのプールサイド。飲み物にストローを使わないとか、コースターはいらなくなったメニューを切って使うなど、エコフレンドリーな店で、インテリアもチャーミングだ。 そしてここでも感動のビーツ料理を発見した。それはチーズを使った揚げ物“スイートランド・ファームシュブレのフリット”に添えたビーツのケチャップ!あまりにさりげなく使われていたので最初は気がつかなかったけど、これは金メダル級のアイディア。次回までにビーツケチャップの試作をして、エドさんの味に迫ってみますね。
奥山夏実 おくやまなつみ●フリーランスライター 『クロワッサン』の特約記者を25年続け、東京を拠点にハワイは毎年、半年ほど滞在。近著に『ココナッツオイルバイブル1、2』、『HAWAII住むように暮らす』(ホノルルの博文堂でも発売中)など。 |