アメリカ初の女性建築家として活躍した、ジュリア・モーガンにより1927年に完成したラニアケアのYWCA。彼女の名を冠したカフェのシグネチャーサラダに入っていた、ビーツチップス見っけ!
若い頃、東京タワーのすぐそばのロシア料理店で、ボルシチをご馳走になったことがある。赤カブ入りのシチューだそうで、食べてみるとスープの味は悪くないのだが、肝心の赤カブはグニュッとした腑抜けな感じで、おいしいとは思えなかった。当時、日本では缶詰のビーツしか入手できなかったのだろう。
吸血鬼のようにビーツを食す、 これ、栄養学的にも大正解!
ビーツは形からするとカブに似ているけれど、種としてはほうれん草の仲間のアカザ科だ。確かにビーツの葉は、野生のほうれん草のような味がする。
私が生のビーツのおいしさを知ったのはハワイでだった。友人の家で、アルミホイルに包まれた、オーブン焼きのビーツがサーブされた。熱々のビーツを切り分け、少しの塩とオリーブオイルを垂らして食べた。 ホクホクだけどしっとりきめ細やかで、ビタースイートな深い味わい。血のように赤い塊を吸血鬼のようにむさぼり、たちまちビーツの虜になった。ところが170度のオーブンで、2時間も焼くと聞いてげんなり。調理するにはそんなに長時間かかるのか…。
料理通の友人は、「200度なら1時間でいけるよ、茹でれば40分ですむ」と、加熱時間の叩き売り。「いっそ生で食べれば。千切りにしてサラダとか、ジュースにもできる」と伝授してくれた。 私は酢漬けを常備するようになった。まずスライサーで、生のビーツを千切りにする。ビーツには抗酸化成分のポリフェノールが豊富だ。だけどポリフェノールは苦味や渋み、えぐ味を伴う。だからビーツを生で食べると喉がイガイガしがち。それを抑えるのが酢の力だ。
千切りにしたビーツに軽く塩をして、酢をかける。私はロータイプのココナッツビネガーを使う。少し置くと味がなじんで食べられる。冷蔵すれば1週間はストックできるので多めに作っておく。 グリーンサラダにトッピングしたり、オニオンスライスと混ぜたり。茹でたジャガイモと和えれば、可愛らしいピンクのポテサラになる。
血管を若々しく保つ、 一酸化窒素(NO)が豊富。
ビーツの栄養を調べてみると、吸血鬼のように食べるのは大正解で、ビーツは“食べる輸血”とも呼ばれている。造血作用に必要な鉄分が豊富に含まれているからだ。また近年、急速に健康効果が明らかになっている“一酸化窒素(NO)”も、ビーツは多く含有している。
NOはタンパク質由来のアミノ酸から産生される物質で、血流をよくする働きや、血管の筋肉を強くしなやかに収縮できるようにする、アンチエージング効果がある。NOは年齢とともに体内で作る力が衰えるので、スーパーフードから積極的に補いたい。 NOに関する研究は、カリフォルニア大学のイグナロ博士が1981年にノーベル医学・生理学賞を受賞。現在も世界中で解明が進んでいる。
さて先日、イオラニパレスの西隣、YWCA@カフェジュリアで食事をした時のこと。カフェオーナーのエマーン氏の名がついたサラダをオーダーしたら、ビーツのチップスが混ざっていた。食感が楽しくておいしい。カフェ手作りのチップスかなあと感心していたら、後日、カイルアのダウンツーアースで売っているの、見つけちゃった。さっそく我が家でシグネチャーサラダ!
奥山夏実 おくやまなつみ●フリーランスライター 『クロワッサン』の特約記者を25年続け、東京を拠点にハワイは毎年、半年ほど滞在。近著に『ココナッツオイルバイブル1、2』、『HAWAII住むように暮らす』(ホノルルの博文堂でも発売中)など。 |