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HAWAII! OISHII! ハワイイ! オイシイイ! Vol.34

ぬか床は冷蔵庫で保存した方が、野菜の色がきれいに漬かる。

 

 


新鮮なぬかなら炒る必要もない。豆乳ヨーグルトはプレーン無糖。

 

 

 

先日、ぬか漬けの取材をした。日本は漬物王国というか、発酵食品大国だ。発酵は、微生物や菌の働きで食品をおいしく熟成させるだけでなく、発酵パワーによる健康効果も多く報告されている。

代表的な健康効果は整腸作用。人間の腸にはさまざまな種類の腸内細菌が棲んでいて、それを“腸内フローラ”と呼ぶ。発酵食品をよく食べると、この腸内フローラの環境が整う。腸は万病の元といわれるくらいだから、腸内フローラが健やかになれば、不調が改善されたり、免疫力がアップして病気になりにくい体質になることができる。

 

 

ぬか漬けに含まれる乳酸菌は、 熱に強く、生きて腸まで届く。

とくにぬか漬けを発酵・熟成させる立役者の乳酸菌は熱に強く、胃酸にも負けない。ヨーグルトの乳酸菌の多くが胃酸で死んでしまうのに対し、ぬか漬けの植物由来の乳酸菌は生きて腸まで届く。

いや、乳酸菌の中でもフェカリス菌などは、加熱殺菌して死滅させても腸内フローラを改善させるほどタフなことが、最近の研究で判明したのだ。

またぬか漬けの乳酸菌が生み出すGABA(ギャバ)という成分には、脳をリラックスさせてストレスを軽減する効果や、免疫力を高める効果もある。降圧作用もあり、高血圧対策の特定保険用食品にも使用されているほどだ。

さらにぬか漬けには、ぬかに含まれる豊富なビタミンB群のおかげで、漬けた野菜のB群の含有量も5〜15倍に増える。B群は糖質の代謝を促すので、ごはんとの食べ合わせはベストマッチ。

実はこの乳酸菌、私たちの手のひらや部屋の中にも棲みついている。前回も登場した料理家の白崎裕子さんに、乳酸菌についての面白い話を聞いた。

白崎さんの料理教室には、日本全国から大勢の生徒さんが習いに来る。たとえば初級クラスでは1年かけてぬか漬けを育てるんだけど、上手に育てられる人と、不味くてダメにしてしまう人がいる。天然酵母のパンのクラスもしかり。同じ材料とレシピで同じようにこねても、パン種が帰りの飛行機の中でぷうーっと膨れる人と、膨らまなくて固いままの人がいるんだそう。 この差は乳酸菌。手のひらに健やかな乳酸菌がたくさんついている人はおいしいぬか漬けやパンが作れるんだと、白崎さんはいう。

「自分の手や住まいを清潔にしようとするあまり、除菌剤などを使い過ぎると、善玉菌までも殺してしまう。結果、悪い菌がはびこって、菌の生態系バランスを乱しているのが現代生活なんじゃないですか」

 

 

豆乳ヨーグルトで、 簡単、手作りぬか漬けを!

ハワイで手作りぬか漬けを作るのはハードルが高い? ノーノー、ハワイの方が、ぬか漬け環境はずっと整っているんです。ぬかはニジヤで売っているし、豆乳ヨーグルトも日本ではなかなか手に入らないけど、どこのスーパーでも買えるから。白崎さん直伝のレシピは、ぬか1に対して豆乳ヨーグルトも1を混ぜ合わせ、塩は総量の10%。植物性乳酸菌がたっぷり含まれる豆乳ヨーグルトを使えば、ぬかを混ぜたその日から野菜が驚くほどおいしくし漬かる。普段は冷蔵庫保存で、時々室温で発酵を促せてあげるだけの手間いらず。セロリ、パプリカ、エリンギなどの洋野菜も美味!

 

 

奥山夏実 おくやまなつみ●フリーランスライター


『クロワッサン』の特約記者を25年続け、東京を拠点にハワイは毎年、半年ほど滞在。近著に『ココナッツオイルバイブル1、2』、『HAWAII住むように暮らす』(ホノルルの博文堂でも発売中)など。