カメリナオイルはペンペン草の仲間。写真はカナダ産のコールドプレス。
まず真っ先にお詫びしなければならないことがある。前々回のコラムで私は、「次回は驚愕のスーパーフード、カメリナオイルについて書きま〜す!」と見栄をきったにもかかわらず、大ボケ。コロッと忘れて前回、ザクロオイルのことを書いてしまった。ごめんなさい。
なので今回、カメリナオイル。
オイル界の真打登場!?
来週日本で新刊されるウエルネスオイルの本の取材で、私はカメリナオイルと初めて出会った。
フラックスシードオイルやエゴマ油などオメガ3系のオイルは、抗酸化作用や抗炎症作用に優れ、体内で効率よく燃えるからダイエットにも有効だ。体内でDHAやEPAに変換されて、健脳、ボケ予防にも役立つ。ただ難点は、酸化しやすく加熱調理には向かないこと。
ところが、オメガ3系の含有率が高いのに、炒め物にも揚げ物にも使える油があると聞いて驚いた。それがカメリナオイルだった。和名はアマナズナ、なんとペンペン草である。
カメリナは日本では雑草としてはびこり、シベリアの極寒地でも育つほどの生命力。ペンペンと振って遊ぶ、茎の先端が種袋だ。よく見るとハートマークで可愛らしい。この種には、過酷な環境でも育つよう、多くの栄養が蓄えられている。 たとえばビタミンEはオリーブオイルの5倍。ビタミンEには強い抗酸化作用があるから、オメガ3系の脂質の酸化を自身で自衛しているわけだ。
ビタミンEは私たちの肌や細胞の酸化を守る、天然の美容液でもあるからアンチエージング効果も絶大。ポリフェノール類も豊富だ。オメガ3・6・9の含有比は、2:1:2と理想の黄金比率。このバランスのおかげで、オイルの発煙点が240度と、高温調理がOKながらも、オメガ3が壊れないという、アクロバットな効能を発揮してくれる。偉いなあ。雑草の種ですよ、それがポテンシャルの高い、次世代のスーパーオイルだなんて。
私が使っているのはカナダ産。カナダ政府のお墨付きを得た品だそうで、使い勝手も上々。生で食べると少し青草のような味がするけれど、いたってマイルドでクセがない。加熱すると青草の味も抜けて、和洋中華なんにでも使える。
キウイ種子からもオメガ3系オイルが採れるが酸化しやすい。
キウイシードも、 オメガ3系オイル。
カメリナよりオメガ3系がふんだんに含まれているのが、キウイシードオイルだ。私が見たことがあるのは、ニュージーランド産の、小さなビンに入ったビューティオイルとして。オメガ3系が60%以上も含まれるキウイシードは、確かに理論上は肌老化に役立つ。オメガ3系だけでなく“クエルシトリン”というポリフェノールが豊富で、これには吹き出物の原因となるアクネ菌を抑えたり、シワやクマを改善する作用もある。
でも肌に塗ると、あっという間に酸化してしまうからお薦めできない。オイルとして搾った状態でも、空気や光で刻々と酸化するから扱いづらい。キウイの場合、オイルより果物のまま丸ごと食べるほうが、ビタミンCも摂れて賢明だ。
奥山夏実 おくやまなつみ●フリーランスライター 『クロワッサン』の特約記者を25年続け、東京を拠点にハワイは毎年、半年ほど滞在。近著に『ココナッツオイルバイブル1、2』、『HAWAII住むように暮らす』(ホノルルの博文堂でも発売中)など。 |