日刊サンWEB

過去記事サイト

10cm以上あるAMAEBI、鮮度栄養抜群。

 

ナイスガイのサイラス タマシロさん。

 

 

ハワイでエビというとガーリックシュリンプがダントツ人気。カフクで養殖されたエビを、ガーリックの効いたオイルで炒めたシンプルな料理は、一台のフードトラックで生まれた。今じゃ元祖か本家かパイオニアかわからないくらい、あまたなるエビトラックが出没し、ノースショア名物になっている。

 

 

ハワイ近海の名産 AMAEBIオイシイイ!

ハワイにはもうひとつの名産エビがあることは意外に知られていないかもしれない。その名もAMAEBI。

私がよく買いに行くタマシロマーケットには2種類のAMAEBIが売られている。一つは日本の甘エビと同じくらいであんまり赤くないもの。もう一つはぷっくり太ったワンサイズ大きめの、鮮やかに赤い、日本でいう赤エビやボタンエビのようなAMAEBI。

タマシロマーケットではその日の朝イチの、とれたてキトキトを売っている。どこでとれたの? と、店主のサイラスタマシロさんに聞くと、「シークレット」とウインクされてしまった。サイラスさんはファミリーで魚屋を切り盛りしつつ、ハワイの沖縄連合会の会長を務めてきた面倒見のいいナイスガイ。

別の日に別の店員にどこでとれたのと聞くと、「ダイヤモンドヘットの沖合いだよ」と、すんなり。サイラスさんにただすと、ダイヤモンドヘッドの沖やモロカイ島のそばや、ハワイ島の近くなど、漁場はいろいろあるらしい。そして以前からAMAEBI漁はあったものの、昔は大型船で2~3日かけて漁をしていたので、鮮度が落ちやすい甘エビは生で食べるには問題があり、途絶えかけていたという。

ところがここ数年、小中型船を持つ漁師がAMAEBI漁を始めた。フットワークよく、日戻りで、量より鮮度を優先させる漁をしているので、正真正銘、朝どれのAMAEBIを食べることができるようになったのだという。 大きいサイズの赤エビなんて、東京じゃ絶対に食べられない鮮度とおいしさだ。

 

 

高タンパクで低脂肪、 栄養価は小さな巨人。

AMAEBIは栄養価も、小さな巨人ほど優れている。まず、高タンパクで低脂肪。あの独特の甘みは、グリシンやアラニンといったアミノ酸。疲れを取るタウリンや、抗酸化力の強いビタミンEも豊富。身の表面やカラの赤いのはアシタキサンチンで、これまた抗酸化力に優れ、サプリメントの材料になるほど。

お味噌汁などにすると良い出汁の出る、カラや頭にはキチンという食物繊維が多く、余分なコレステロールを排泄する作用がある。

私は買ってきたらすぐカラや頭を外し、お刺身で食べる身は昆布の上に乗せて、ラップで包んで冷やしておく。昆布〆ほど大げさじゃないけれど、1時間でも昆布の上に乗せてておくと、エビの水分がほどよく抜け、昆布の旨味が移って旨みが増す。敷いていた昆布は出汁に使い、カラや頭を加えてお味噌汁にすれば絶品。洋風にカルパッチョにしてもエレガントで、オレンジとのサラダ仕立ても美味だ。

 

 

奥山夏実 おくやまなつみ●フリーランスライター


『クロワッサン』の特約記者を25年続け、東京を拠点にハワイは毎年、半年ほど滞在。近著に『ココナッツオイルバイブル1、2』、『HAWAII住むように暮らす』(ホノルルの博文堂でも発売中)など。