手のひらにずっしりのジャンボガーリック。
遠火の炭火で15~25分ほど焼くとヤミー。
前回はハワイで採れるジャンボサイズのワラビをご紹介した。今回はジャンボつながりで特大サイズのニンニクをフィーチャーしたい。
売っているのはセーフウェイやホールフーズ。ちょうど大人のゲンコツくらいの大きさほどもあるから、私は勝手にゲンコツニンニクと呼び、BBQの集まりがある時にはほぼほぼ持参している。
BBQのお供のニンニク、 匂いはいたってマイルド。
初めて見た人はびっくり、ずっしりジャンボなルックスは必ずウケる。だけどその後、心配そうに、「食べたら臭うんじゃないの?」と聞かれる。
だいじょうぶ、心配ご無用。味も香りもふつうのニンニクの半分にも満たないマイルドさなのだ。日本でもジャンボサイズのニンニクを生産する農家があり、そこでは臭い(匂い)成分は1/10と謳っている。
ニンニクの臭い成分は、アミノ酸の一種のアリインという成分で、これは切ったりすりおろしたりして、組織が空気に触れるとアリシンという成分に変化して、臭いを発する。なので空気に触れさせずに丸のまま加熱すれば、ふつうのニンニクだってそんなに臭わない。
栄養剤のアリナミンは、 ニンニク成分から生まれた。
それにこの臭いの成分、アリシンこそがニンニクパワーの源だ。ニンニクが疲労回復や滋養強壮に効くといわれるのは、ニンニクに含まれるアリシンとビタミンB1がタッグを組んで、食べた糖質を効率よく燃やしてエネルギーに変え、元気を出してくれるから。
ビタミンB1は単独では吸収率が低く、大量に摂ってもわずかしか吸収ができずに排出されてしまう。だけどアリシンと結びつくことで、アリチナミンという物質に変化し、吸収率を高めるだけでなく、あまったビタミンB1を体内にストックしておくことができるようになるのだ。この特性を利用したのが、栄養剤でおなじみのアリナミンというわけ。
ニンニクの原産地であるエジプトでは、ピラミッド建設の肉体労働の対価にニンニクを支払っていたほど、その薬効は古代から認められていた。源氏物語にも熱冷ましの滋養薬としてニンニクが記されている。
ゲンコツニンニク、 レアからウエルダンまで。
さて、ゲンコツ焼きについて。まずゲンコツを株のまま洗う。ちょっと水分が残っているくらいで、皮をむかずにアルミホイルで全体をきっちり包む。そしてBBQグリルの上で蒸らし焼きにする。火加減にもよるけど、15分ほどでミディアムレア。これを食べると、ニンニクの香りがふわーっとたちのぼり、ホクホクのお芋みたいな食感。さらに10分くらい、ウエルダンに焼くと、柔らかくとろけるよう。このペーストを肉に塗って食べるとヤミー。ゲンコツガッツなおいしさ、ぜひぜひお試しください。
奥山夏実 おくやまなつみ●フリーランスライター 『クロワッサン』の特約記者を25年続け、東京を拠点にハワイは毎年、半年ほど滞在。近著に『ココナッツオイルバイブル1、2』、『HAWAII住むように暮らす』(ホノルルの博文堂でも発売中)など。 |