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HAWAII! OISHII! ハワイイ! オイシイイ! Vol.18 コラム@ココナッツラバー

葉山の海辺の古民家で開いている料理教室には、毎月日本全国から200人以上が受講。著書『白崎茶会のかんたんパンレシピ』で今年度、料理レシピ本大賞入賞。

 

数日前、雑誌『クロワッサン』の仕事で、オーガニック料理教室「白崎茶会」を主宰する、白崎裕子さんを取材した。白崎さんは私が今、一番、感動する料理を教えてくれる料理家だ。

料理とは、漢字からもわかるように、筋道のことわりをおしはかる、いたって理にかなった、いやもとい、理にかなっていなければならない営みだと思う。料理の筋道がめざすてっぺんは、おいしさ。白崎さんの料理はいつも、誰も登ったことのない唯一無二のルートを切り開き、いとも簡単においしさの頂上に登らせてくれる。たとえどんなに高く険しい山であったとしても。

 

生の大豆をココナッツオイルで揚げる。低温でもべたつかない! 薄皮も破れない!

白崎さんと初めて一緒に仕事をしたのは、『ココナッツオイルバイブルⅠ』の時だった。

ココナッツオイルが25℃以下で固まる特性を利用して、生チョコの液体と油を、生クリームなしで乳化させてしまう、なんとも理にかなったレシピを考案してくれた。子どもが、コップ一つで作っても失敗しない、完全無欠の簡単レシピに感動してしまった。

『ココナッツバイブルⅡ』では、大豆やひよこ豆などの、豆の素揚げを教わった。

手順は、豆を一晩水で戻す。ココナッツオイルの量は豆がひたひたになる程度。火にかける前に豆をオイルに入れ、ゆっくり低温で、豆が踊らないほどの弱火で7~8分揚げる。途中ブクブクとアクの泡が出るのですくい取 る。完成! 低温で揚げてもべたつかず、大豆の薄皮が破れることもない。

ほかの植物油で揚げてもできない筋道を、白崎さんは発見してくれた。

この揚げ大豆、ハーブソルトをちょこっとつけて食べると、もっちりねっちり旨みが凝縮してあとをひくおいしさ。揚げひよこ豆はカレーソルトと相性良 し。揚げ豆は、味噌汁やカレーに入れるとコクが出るので重宝。茹でるより揚げるほうが時短でもある。

私は大豆やひよこ豆だけでなく、 黒豆やキドニーなど、手持ちの豆オールキャストで揚げてみた。

 

キヌアやアマランサス、黍や粟など雑穀の、目からうろこの「寸止め下茹で法」!

10月25日発売の『クロワッサン』の特集は、雑穀。たんぱく質や食物繊維、ポリフェノールやビタミンB群が豊富な、五穀豊穣の粒々シードをフューチャーする。白崎さんが担当してくれたのは、「メインディッシュにもなる雑穀料理」。

用意した雑穀は、キヌアやアマランサス、もち黍やもち粟などなど。まずは下茹で、と、白崎さん、「どんな雑穀でも茹で時間は5分ほどでいいです。あとは蓋をして5分、余熱で蒸らすだけ。煮崩れしないし、蒸らしているうちにアクが出るので、キヌアなどの特有のにおいはかなり消えます。ガス代の節約にもなります」。

簡潔にして明解、一石三鳥も理にかなっているとは、ガッテン、ガッテン、 ガッテン!!!

 

(日刊サン 2015. 9. 23)

 

 

 

奥山夏実 おくやまなつみ●フリーランスライター


『クロワッサン』の特約記者を25年続け、東京を拠点にハワイは毎年、半年ほど滞在。近著に『ココナッツオイルバイブル1、2』、『HAWAII 住むように暮らす』(ホノルルの博文堂でも発売中)など。