創業25年、昔ながらの“佐野屋”は看板も店内も小ざっぱりと簡素だ。
そこに朝11時からの開店を待ちわびたように、お腹を空かせた客が訪れる。
佐野屋のラーメン、餃子、カレーはローカルにとってはソウルフードだ。
おいしくって、ボリュームがあって、安い、この三拍子が揃っているところが人気のゆえん。
「10ドル前後でお腹いっぱいになるメニューばかりだから、若い頃はありがたかった」という人々が、今では家族を連れて佐野屋ののれんをくぐる。考えてみればラーメンも餃子もカレーも、それぞれ単品の専門店があるほど味の競争が激しいというのに、佐野屋はどれも当たり前のようにおいしい。この水準はすごい。深夜3時まで営業しているというのも魅力だ。2つの仕事を掛け持ちして、朝から晩まで働いたあと、BYOBのビールを持ち込んで、餃子を30個平らげるのを週末の楽しみにしているワーカーもいる。餃子品質がさらにアップ!その、ハワイ一安くておいしいと言われる佐野屋名物の自家製餃子が進化したのをご存知だろうか? 餃子のあん(具)と皮は、寿司ならネタとシャリの関係。シャリほどに大切な餃子の皮を、佐野屋は日本から直輸入した皮に切り替えた。ハワイでは佐野屋だけの0.8mmという薄さで、もったりせずにあんとのバランスがよりスマートになった。
一日1000コもの餃子が売れる佐野屋では、この皮を使うに当たり、手包みから機械包みに変えた。この機械も日本で特注した。ローカルの従業員が作っても、店主が作るのと変わらぬ美味しい餃子を提供できるようになった。あんは刻んだキャベツ、玉ねぎ、ニラと豚挽き肉。バランスは6:4で野菜がちょい多め。だからジューシーでいくらでも食べられる。毎日仕込んでいるこの餃子、午後3時頃に行くと作りたての生を買うことができる。自宅で佐野屋の餃子の、焼きたての熱々を楽しむことができるのだ。店主の大野さんによる焼き方は、「フライパンに餃子を並べ、半分くらいの高さまで湯を注いで蓋をして強火にかけます。2分くらいしたら湯を捨てて、油を入れ、また2分ほど強火で焼き付ければ完成です」我が家で餃子パーティしたら、拍手喝采を受けるだろうな!
Writer:奥山夏実
(日刊サン 2018.07.20)
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