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人気料理研究家 藤沢セリカさんの【ハワイアンフードでアンチエイジング!】

ハワイの歴史が物語る食文化

ハワイにお住まいのみなさまにはあまりピンとこないかもしれませんが、伝統的なハワイアンフードはかなりケトジェニックだったりします。一般的に知られているもの、たとえばロコモコやガーリックシュリンプ、スパムむすびなどはあまりアンチエイジングではないですね。そういったボリューミーで油っぽいものがハワイアンフードの代表だと思われていること、少し悲しくありませんか?

ハワイにはもともと海から採れる塩しか調味料はありませんでした。これはハワイを最初に発見したと言われているポリネシア人が暮らすマルケサス諸島タヒチなども同じ。今でこそ、フレンチが主流ですが遠い昔はスパイスもクリームもありませんでした。ことの発端は1778年ジェームズ・クック(のちにクック船長と呼ばれた人)の発見により、ハワイは変貌を遂げることになりました。以前のハワイはハワイアン部族同士の争いは絶えなかったにしても、食生活は健康そのものだったと思います。海で摂れる魚と畑で摂れるタロイモ、自然に育つ果物を食べて生きていたのでしょう。19世紀前半に欧米人の宣教師たちや開発者たちが訪れたことにより、彼らが持ち込んだ食用動物や調味料で、ハワイアンの食生活は一気に変わったと思います。

では具体的にハワイの伝統食とはなにか?どうアンチエイジングに良いのか検証していきましょう。

 

ハワイの伝統食とは

今でもスーパーや食堂に行けば必ずあるポケ(ポキとも言う)はハワイアンのソウルフードですね。料理の名前にもなっているポケとはハワイ語で「細かくちぎる」という意味。今ではしょうゆ味やスパイシーなものもありますが、昔は塩で和えるのみ、だったと聞いています。主にマグロですが、カツオや貝、タコやイカなどもポケとして食べます。オゴという岩場に生える海藻を加えますが、きっと昔はこのオゴで塩味をつけていたのでしょう。

また、ハワイアンの主食だったのがポイ。タロイモをペーストにして発酵させたもの。見た目はブルーベリーヨーグルトのようですが、酸味と苦味のある、何とも言えないお味。タロイモは焼いても食べていたようです。あと、今のハワイでは食べられることのないウル。パンの木の実で、丸ごと焼くと中がカマンベールチーズのパンみたいな味がすることからパンの実と言われています。タヒチでは今でも食べられていて、私も頂きましたがとっても美味しい!! もっちりしていて本当にチーズパンみたいな味がしました。

昔のハワイは焼く、揚げる、ということはあまりしていなかったように思います。

昔、知り合いのレラ・サンに作ってもらったハワイの伝統料理は、確かカワハギだったと思いますが、ただ蒸しただけで、塩もなし、そして苦く、一緒に食べるものはポイ。「海の味がするでしょ、これが本当のハワイ料理よ」と教えてくれました。彼女はハワイを代表するプロサーファーでしたが、47歳の若さで天国へ行ってしまいました。レラに食べさせてもらったものが、本物のハワイの伝統料理だったと思います。あの味、忘れられません。

 

 

ハワイがアンチエイジングに良いワケ

ハワイで摂れるもの、全てがアンチエイジングに最適だと私は思います。まずは自然の中で生まれてくること、そしてその環境で育つこと。アンチエイジングとは極端に言えば若返る、ですが、老いの進行を遅くする、実年齢より若々しくいる、ということです。これには食生活もそうですが、メンタルな部分もかなり左右されると思います。

食で言えば、添加物や悪い油、人工的に作られた調味料を極力摂取しないことです。いくら新鮮で質の良いものを手に入れても、調理方法で残念な結果になってしまうこともあります。素材が良ければ余計な味付けはせず最小限の調味料で、素材から出る旨みを感じるように五感を敏感にすることも大切です。

そこにメンタルなことも関係してくるのです。日本に暮らす人たちは、その五感を研ぎ澄ませるのにリラックスできる環境と時間が必要になります。その最適な場所がハワイ、なのです。太平洋に浮かぶ孤島なのに、温かみのある風土、独特な空気に癒されますから。ハワイにお住まいの皆様は、アンチエイジングの基礎ができている、第一関門は突破している、と思ってもよいでしょう。

 

【ハワイアンフードレシピ】

そのままほぐして食べても美味しいソルトポーク。ハワイではクレソンをウォータークレソン(日本ではセリ)と言います。私は茎が太めのクレソンをたっぷり入れるのが好き。スープの熱で次第にしんなりしてきますが、生のシャキシャキ感と柔らかいお肉がクセになります。ごはんを入れて食べても美味しいですよ。好みでレモンを絞ってもGOOD!

豚肉に含まれるビタミンB1は疲労回復のほかに冷え症の解消にもなり、ステアリン酸と呼ばれる飽和脂肪酸は肌の保湿性を高めてくれます。クレソンのピリッとした苦味のシニグリンは消化を助け、殺菌作用があります。血行も良くなるので、このスープは冷え症の女性にはピッタリなのです。

 

 

クレソンとソルトポークのスープ

<材料 2人分>

・豚ブロック肉または スペアリブ用肉 600g

・塩 4g

・塩麹 大さじ1

・水 1L

・塩 小さじ2

・コショウ 少々

・クレソン 2束

・タマネギ(スライス) 1/4個

・チリソース 少々

<作り方>

①豚ブロック肉はナイフで数か所切り込みを入れる。

②①に塩と塩麹をよく揉みこみ、ビニールなどに入れて冷蔵庫で1~2日漬け込む。

③②を取り出し、大きめに切り分ける。

④圧力鍋に③と水を入れて中火にかけ、圧がかかってきたら中弱火にし、25~30分圧力をかける。普通の鍋の場合は中火にかけ、沸騰してきたら中弱火にし、1時間~1時間30分煮込む。水が足りなくなったら、常に肉が隠れるくらいに足す。

⑤肉が柔らかくなったら水を足し(肉が隠れるくらい)、中火にかけて塩・コショウで味をととのえる。

⑥クレソンは2cmほどの長さに切る。

⑦器に盛りつけ、⑥をのせる。好みでタマネギ、チリソースを添える。

 

積極的に食べたいハワイアンフード

以前にもスーパーフードのお話しを書いたと思いますが、ハワイはスーパーフードの宝庫です。 具体的にどんなものがあるのか見ていきましょう。

 

<<ポイ(タロイモのペースト)>>

昔、食材の種類が少ない中、体に良いから作られたと思われる発酵食品のポイ。スーパーなどでビニールやフードパックに入って売られています。そのままだと硬い場合は少し水を足して柔らかくして、ごはん代わりにおかずと一緒に食べます。 余談ですが、知り合いのおばあちゃんに「ポイはタロイモの葉っぱと一緒に食べると美味しいわよ」と教えてもらいました。早速、蒸した葉(ラウラウにしたもの)にポイを付けて食べたのですが、これが美味しい!! おばあちゃんいわく「葉と実は親子みたいなもの。一緒じゃないとだめよ」って。ステキなハワイアンスタイルです。

 

<<ラウラウ(豚肉をタロイモの葉で包み蒸したもの)>>

ラウラウとはハワイ語で「包む」という意味。塩のみで味付けされ、お肉の味が凝縮したとても柔らかい豚肉料理。脂分がある豚肉をタロイモの葉で何重にも包み、じっくり時間をかけて蒸します。葉も肉もほろほろ砕けるほど柔らかくなり、素材の味がジュワーと広がるナチュラルなお味。ポイと相性が抜群です。日本ではタロイモの葉が手に入らないので、バナナリーフで包んで作ります。その場合は残念ですが、バナナの葉は食べられません。

 

<<ロミロミサーモン(サーモンと野菜を塩で揉んだもの)>>

ロミロミとはハワイ語で「揉み、揉み」という意味。マッサージでも使われる言葉ですね。お料理ではサーモンと玉ねぎ、トマト、グリーンオニオンなどを小さく切って、塩で揉んだもの。暑い日には氷を加えて揉んだりもします。サーモンは抗酸化力が強いのでアンチエイジングにはピッタリ。毎日でも食べたい料理です。サーモンはハワイで獲れないのにどうしてこの料理がハワイを代表するものになったのかは分かりませんが、伝統食とされているもののひとつです。

 

<<ポケ(マグロやカツオなどをちぎったもの)>>

前にも書いてありますが、ポケとはハワイ語で「小さくちぎる」という意味。もともとはただ魚をちぎって塩で食べた、日本で言う刺身みたいなものでした。今ではお惣菜コーナーに行けばポケだけでも20種類ほど見かけます。中でも日本の文化が根付いた「しょうゆセサミポケ」はハワイアンにも大人気。ごはんに合いますね。生の魚はオメガ3が豊富。積極的に食べたいので、できればシンプルな味付け(塩分控えめ)がおすすめです。

<<フリフリチキン(鶏肉のBBQ)>>

フリフリとはハワイ語で「くるくる回す、裏表裏表」という意味。ハワイのノースショア名物として、道端で鶏肉が棒に刺さってくるくる回って焼かれているのがそうです。こちらも最近では色々なタレがあって、定番は甘辛い照り焼きソース風のものですが、もとはシンプルにニンニクと塩、パプリカパウダーをすり込んで焼いたものでした。鶏肉は良質なたんぱく質なので、老化した皮膚の再生などを助けてくれます。

 

<<ハウピア(ココナッツミルクを固めたもの)>>

ハウは「固める、冷たくする」、ピアは「タシロイモ」という意味。昔のハウピアはココナッツミルクとタシロイモのでんぷんを混ぜて冷やし固めて作りました。現代では、ほとんどがコーンスターチを使って固めています。食感は硬めのプリン。ココナッツミルクに砂糖と塩を加え、コーンスターチでとろみをつけて冷やし、デザートとして食べます。ココナッツミルクの中鎖脂肪酸がしっかり摂れるからだに優しいスイーツです。ボケ防止のために毎日でも食べたいですね!

 

<<アサイーボウル(ジェラートのようなアサイーに フルーツをトッピングしたもの)>>

アサイーはブラジルのアマゾンで生まれた抗酸化力の強いフルーツ。それがなぜかハワイでヒットし、世界中に広まったアサイーボウル。アサイーパルプをジェラート状にし、バナナやベリーをミックスし、フルーツやグラノーラをトッピングした見た目も綺麗な朝食ボウル。ポリフェノールたっぷりでアンチエイジングにピッタリです。

 

<<番外編 アボカド、パパイヤ、パイナップル>>

やっぱりハワイで採れるパワーフルーツは毎日食べたいですね。

アボカドには不飽和脂肪酸(オレイン酸)が含まれているので老化の原因となる酸化を防ぎ、若返りのビタミンと言われるビタミンEが豊富。食物繊維も豊富なので、整腸作用もあります。

パパイヤには肉を柔らかくするパパインというタンパク質を分解する酵素がありますが、熟すうちにその力は低下します。ですが、食事の前に食べると消化を助けてくれる効果はあります。また果汁で洗顔するとお肌が滑らかになるとか。

パイナップルは糖質の分解、エネルギー変換を助けるビタミンB1、疲労回復に良いクエン酸、ビタミンCも豊富で、抗酸化作用による老化防止、メラニンを抑えてシミやくすみを減らす美白作用も期待できます。

 

 

 

藤沢セリカ
ハワイ・アイランド料理研究家。アンチエイジングアドバイザー。ハーブコーディネイター。 料理研究家の母から料理を学ぶ。ハワイ滞在と子育てをきっかけに料理研究家へ。その後さまざまな国へ渡り、現地のレストランなどで修業し、多国籍料理への造詣を深める。多国籍料理ベースのオリジナリティある家庭料理をTV、雑誌、書籍などで発表し、好評を得る。著書に「おうちでハワイアンごはん60」(宝島社)、「Theハワイアンパンケーキレシピ」(河出書房新社)、共同監修書に「ハーブとスパイスの図鑑」、料理担当書に「ワインの図鑑」(マイナビ)などがある。 「ケトジェニックダイエットレシピ」(河出書房新社) 「ボケを遠ざけるココナッツオイルレシピ」(河出書房新社) 「ココナッツ君の出番です!」(スターダスト出版)
オフィシャルホームページ「アロハデリ」 http://www.aloha-deli.com