炎暑が続く日本。今年、かき氷の大ブームは第三世代を迎えているんだという。
人気の発端は、1990年代の天然氷を使ったかき氷。氷室で貯蔵し、一年中食べられる店が日光にできて話題になった。第二世代は台湾から、韓国から相次いで上陸してきた革命的かき氷。氷そのものがマンゴーでできていたり、ミルク味がしたりして、氷のシャリシャリ感というより、フワフワ感というか、食べ心地が全然違うので驚いた。ハワイで台湾系かき氷 頭が痛くならない!私が初めて台湾系のかき氷を食べたのは、マッカリーショッピングセンターの中の“スノーファクトリー”だった。ねっとりしたマンゴーのかき氷に、カットしたマンゴーとハウピアのシロップがかかっていた。私はかき氷を食べると途中でこめかみがキューンとなるので苦手だったけれど、この台湾系のねっとり氷は、不思議と頭が痛くならず、快調に完食できた。氷に砂糖など甘み成分を入れて凍らすと、シャリシャリではなくフワフワに削られるらしい。
そして日本で最新、第三世代のかき氷とは、フランス語で氷菓を表す“グラニテ”と呼ばれるオシャレ系というか、手の込んだドルチェ系まで登場しているのだという。友人が送ってくれたSNSは、生クリームで覆われたホールケーキの、本来スポンジケーキがあるべき中身に、かき氷が詰まっている“氷のショートケーキ”だった。「詰まっているからといって固いんじゃなくて、フワフワなんだよ」と注釈付きで。平安時代の枕草子にも、オシャレ系、削氷の記述が日本でかき氷が食べられるようになった正式な歴史は知らないけれど、平安時代中期に書かれた『枕草子』には記述がある。「あてなるもの削氷にあまづら入れて新しき金まりに入れたる」と。オシャレなもの、細かく削った氷に甘い蜜をかけて、この夏おニューの金属の器に入れて食べるのよん……といった、スイーツ女子、清少納言の流行通信だ。確かに枕草子の昔から、かき氷には甘いシロップをかけるのが定番だけど、“モンサラット・アベニュー・シェイブアイス”のジンジャーフレーバーは砂糖を一切使っていない、きりっとした味わいで私は大好き。冷たいけど、生姜を使っているので体を冷やさないんじゃないかな、なんてヘルスコンシャスも頭をよぎり、あと口もさっぱり。シロップやトッピングを自然派で手作りしているのはワイキキのアラワイ運河近くにある“レモーナ・ハワイ”で相当なこだわりだ。店名通り、フルーツのシロップの全てにハワイ島のマイヤーレモン果汁が入っていて、全てホームメイド。氷も純度の高い水を凍らせているのでフワッとして粉雪のように軽い。
オバマさんも通った、ワイオラ・シェイブアイスそれでもやっぱり、ローカルから絶大な支持を受けているのは、Waiola stが本店の“ワイオラ・シェイブアイス”だ。ノースで創業1951年のマツモト・シェイブアイスの方が観光客には有名かもしれないけれど、ワイオラは1940年創業のシェイブアイスの草分け的存在。オバマさんも子どもの頃常連だったそうで、今もスーツ姿のビジネスマンが懐かしそうに行列に並んでいたりする。私は日曜日、チャーチの仲間と行くことが多い。アズキボウルがイチオシの人気で、ちょっと粒の大きいアズキが、甘すぎない程度に炊かれていてなんともおいしい。トッピングのMochiは餅というより、白玉やギュウヒに近い食感で、これもサラッとしたかき氷とよく合う。「子どものテストの終わった日に、よく連れて行ったなあ」思い出の味、いいな!
(日刊サン 2018.07.06)
奥山 夏実 おくやまなつみ ライター
『クロワッサン』の特約記者を25年続け、2017年ハワイに移住。近著に『ココナッツオイルバイブル1,2』、『HAWAII住むように暮らす』(ホノルルの博文堂でも発売中)など。