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『リカー&フード エキシビション 2018』開催 名酒、人気酒のSAKEがラインナップ!

食品輸出入の総合商社、ウィズメタック・アジアン・フーズ(旧称:西本貿易)が主催する『リカー&フード エキシビション 2018』が先月末、ホノルル日本文化センターで開催された。日本やロサンゼルスから32社のベンダーが参加し、レストランやスーパーマーケットなど、飲食業界に従事する人を対象とした同展示会は、ハワイにおける日本食ブームを追い風に、熱い商談が繰り広げられた。 

(取材・文 奥山夏実)

 

福島の旨酒、金賞日本一を6連覇! 史上初の快挙と、復興にエール

 

注目を集めたのはSAKE。日本酒を指すSAKEは世界共通語となり、アメリカやヨーロッパ、アジアなど世界各国で人気を博している。  会場には日本の蔵元から酒造家も駆けつけ、試飲をしてもらいながらSAKEの美味しさや個性、飲み方を味わってもらっていた。  中でも震災から7年を迎えた福島の酒に、エールを送る来場者も多かった。今年も福島県の酒は日本一に輝いたからだ。  明治44年から続いている、全国規模の日本酒新酒のコンクール「全国新酒鑑評会」で、福島県は特に優れているとされる金賞酒に19銘柄が選ばれ、史上初の6年連続で日本一を達成した。

 

ほまれ酒造

 

奥の松酒造

夢心酒造

 

酒造りの秘伝を、公開して切磋琢磨。 清酒アカデミーが日本一に貢献

 

ウィズメタック・アジアン・フーズでは、東日本大震災でもびくともしなかった蔵元である、“ほまれ酒造”、“奥の松酒造”、“夢心酒造”の酒やリキュールをハワイに流通させている。江戸時代創業の酒蔵が多く残る福島県だが、実は20年ほど前までは、醸造アルコールを加えた安価な普通酒が主流で、酒どころ東北でも評価が低かった。ところがそれを180度転換させたのが、“県清酒アカデミー”の設立だった。アカデミーには酒造家の後継ぎたちが集い、門外不出だった酒造りの秘伝の技術を公開し合い、切磋琢磨しながら福島県全体の水準を底上げ。福島県が独自に開発した“うつくしま夢酵母”などを使い、旨くて本物の日本酒の新時代を築いていった。今回の展示会のために喜多方からやって来た、ほまれ酒造の4代目、唐橋裕幸社長も3年間アカデミーで学んだという。「僕たちの先代がアカデミーの設立に尽力してくれたおかげです。全国の蔵元のトップが来て教えてくれるし、お互い率直に品評し合うし、みっちり実践勉強します」ほまれ酒造の“純米大吟醸黒ラベル”は、2015年にロンドンで開かれたインターナショナル・ワイン・チャレンジのSAKE部門で最高賞に輝き、伊勢志摩サミットで当時のオバマ大統領はじめ、各国首相に贈呈された。 「果実を思わせるフレッシュでフルーティな香りと、キレのある味わいです。もちろんハワイでもお求めいただけます」唐橋さんの酒造は福島県下で一番大きく1万石。1石は一升瓶100本のことだから、Ⅰ万石というと一升瓶にして年間100万本もの生産量だ。 「ハワイへはウィズメタック・アジアン・フーズを通して、8種類の日本酒とリキュールを卸しています。福島県喜多方の、飯豊山山系の伏流水を使って仕込んでいます。やわらかな超軟水で、酒造りには最適の天然水です」  東京ドーム2倍もの敷地にあるほまれ酒造では、酒蔵見学をしてさまざまな酒をテイスティングできる近隣の酒蔵ツーリズムも開催して、旨酒が生まれる場を体感してもらっているという。

 

2018年世界一に輝いた“奥の松”

 

 今年、世界最大規模のワイン品評会、インターナショナル・ワイン・チャレンジで、最優秀のChampion Sakeに輝いたのは、福島県二本松市にある奥の松酒造の“あだたら吟醸”で、ハワイでも購入できる。創業300年を超える奥の松酒造は、全国新酒鑑評会でも連続金賞を受賞している名酒を製造。全米日本酒歓評会で3年連続金賞を受賞した大吟醸のSAKURAや、低温でじっくりビン内発酵させた純米大吟醸のプレミアムスパークリングなど、7種類の日本酒とリキュールをハワイでラインナップしている。第3のSAKEは、地元福島だけでなく日本全国で人気の“奈良萬”で知られる喜多方の夢心酒造だ。  酒米に山田錦を使用するのが、全国新酒鑑評会金賞受賞のセオリーとされていた時代にも、五百万石を原材料とする酒で挑戦。何度も金賞受賞をしている実力派の酒蔵で、水も酵母も喜多方でしかできない酒造りに徹している。燗酒にすると抜群のうまさを発揮するとも称えられ、温めるとまるで炊きたてのご飯のようななじみ深い味わいで、刺身、煮物、揚げ物など和食と絶妙の相性を見せる。今回の『リカー&フード エキシビション 2018』では、「奈良萬の純米酒を、10〜15倍の湯で薄めたにんべんの白だしで割ると、お吸い物のように馥郁と美味しい和風カクテルができます」と勧め、来場者も興味深く試飲していた。また日本では入手が困難な、白く濁った微活性のフレッシュなしぼりたて生酒“奈良萬純米酒おりがらみ”もウィズメタック・アジアン・フーズで卸しているので、ハワイでも一献傾けることができる。

 

(日刊サン 2018.09.15)