ヘソの緒はパパが切って管理!?
「お産のシーンも自然分娩と帝王切開と、どちらも実写の映像を見ました。ちょっとリアルで引いちゃうんですけどね(笑)」と、未央さん。鵜飼さんは、「産まれてすぐのヘソの緒って、紫色でぶにょぶにょしてるんですね、アメリカではヘソの緒は夫が切るんだそうです。どの辺を切るのか、その映像も見ました。夫だけでなく、家族親族も立ち会うことが少なくないので分娩室は広かった。出産は家族ぐるみのイベントなんです」
私は夫以外の人には立ち会ってほしくないと、未央さんは苦笑い。「入院は、陣痛が5分間隔になったら来てくださいって。病院はうちから車で10分の距離だけど、5分間隔ってもう生まれる直前なんじゃないかってちょっと不安です」
新生児の赤ちゃんの扱い方、母乳の上げ方、搾乳の仕方、泣き方の聞き分け方法などなど、初めてづくしのママパパには心強いクラスだ。「お風呂に入れる時もヘソの緒は触っちゃいけないんです」鵜飼パパ、やけにヘソの緒が気になるようす。
「あとね、アメリカでは出産前の両親に百日咳の予防接種をするよう促されます。逆に日本では、妊娠中に百日咳の予防接種は副作用が出ると良くないという判断でしない。医師らの見解は真逆なんです」
Whooping cough(百日咳)は全米で毎年5万件近い感染報告があり、感染力が強く、咳の空気感染で移り、ワクチンを受けていないと90%が感染する。大人の場合感染するとその名の通り、100日近い咳が続くが、新生児の場合、命に関わることがあると報告されている。それで、産まれたばかりの赤ちゃんに接する両親や兄弟姉妹、祖父母などにワクチン接種を勧めるのだという。
「赤ちゃんの突然死予防のNo.12のワクチンの症例がそれです。なのでインフルエンザの予防接種も済ませたばかりです」
カーシートの準備、小児科ドクターも事前に
「あと、出産のための入院で持参するものの中で、赤ちゃん用のカーシートは必須です。アメリカではチャイルドシートは、Car Seat(カーシート)と呼ばれるんですが、カーシートがなければ退院することができません。州によって違うけど、ハワイでは8歳までの子どもはカーシートに乗せることが義務付けられていて、違反すると高額な罰金と運転手の再訓練が義務付けられています。カピオラニ病院ではカーシートの講習会も受けました」
日本製のチャイルドシートはアメリカの規格に合っておらず、これも違反。「カーシートの、車への取り付け方ですが、9割の人が間違っているというんです。それでカーシートを買って、正しい取り付け方法を習って」
出産準備、万全ですね。
「小児科のドクターも生まれる前にインタビューして、どのドクターにお願いするか事前に決めておかなければなりません。設備や夜間診察は可能かなどを確認したりね。出産は産婦人科医ですが、産まれた赤ちゃんは小児科医の担当になりますから。事前に連携しておくと、出産したらすぐに小児科医のドクターが診に来てくれるようにしておくと安心です」
鵜飼高生(ウガイタカオ)
大阪生まれ、東京育ち。小学生の時、アメリカのオハイオ州で過ごす。明治大学理工学部卒業後、再度渡米。ハワイ大学マノア校にて博士号取得。現在は、「フォーカス教育研究所」の代表取締役。”家庭教師”と”塾”両方の利点を融合させた”家庭塾”メソッドを用い、ハワイ在住の多くの子供たちや家族のサポートに専心している傍ら、建築士としても活躍している。
(取材・文 奥山夏実)
(日刊サン 2019.09.20)