お子さんがハワイの学校に通っている、自身がロミロミのなどの資格取得をめざしている…小中学校から大学、専門学校と、ハワイの教育機関は実に多彩。
日刊サンではバイリンガル教育をはじめとする、“学び”の特集をしています。お話しをしてくれたのは、ホノルルで“フォーカス教育研究所”を主宰する鵜飼高生(ウガイタカオ)さんです。鵜飼さんはすでに建築学博士号を取得されていますが、最近、また大学院で学ばれたとか? しかも世界No.1のハーバード大学院で!?
「はい、サステナブル、持続可能なビジネスに関する経営学に興味があったんです。というのはもう随分前ですが、流通小売の大手ウォルマートが、従来より小さな濃縮洗剤は流通業にも製造業にもサステナブルだ、と着目した。
濃縮タイプなら、容器に使うプラスチックも削減できる、軽いし小さいから洗剤を搬送するためにかかるトラックの台数もガソリン代も節約できる、店で販売するスペースも少なくて済む。家庭ではゆすぎの水も節約できる。持続可能なエコロジーに貢献できると考えたわけです。だけど洗剤メーカー一社だけが濃縮洗剤を開発しても意味がない。
それでウォルマートは取引先の、全ての洗剤メーカーに一斉に、濃縮洗剤を開発して欲しいと呼びかけたんです。流通から製造元に商品開発を命じるなんて、逆流ですよね。でも、メーカーは賛同した。なぜなら“持続可能なエコに貢献する”というスローガンが原動力となって、洗剤メーカーの経営のキモを射抜いたからです。地球環境が加速度的に悪くなっている現在、消費文明もダイナミックに変わらなければならない。これは一例ですが、僕はサステナブルな視座に立った経営学を学んでみたかったんです」
鵜飼さんはハーバード大学院に履歴書やエッセイなどをアプライして合格、オンラインで勉強して単位を取得。2つ目の博士号をとることも視野に入れてため勉強を続ける予定だ。
アメリカの大学院は学部の垣根がない
鵜飼さんのお話しからわかる、アメリカの大学院の特徴は、“社会人でも大学院に入学できること”。
「いやむしろ、ハーバードやペンシルベニア大学のトップレベルの大学院でMBA(経営学修士)を取ろうとしたら、大学からストレートには入りにくい。大学を卒業して経営コンサルタント会社などで数年働いてきたが、こんな問題意識が生じた、大学院で学ぶ必要性を感じたといった、明確な動機と目標の方が重要視されます。だから大学院入学において、就労経験は加点要素です」
アメリカでは大学生より大学院生の方が多い大学がたくさんあり、ハーバードも大学院生の数は、大学生の2倍にもなる。就労経験のある学生が少なくないため、年齢層も幅広い。
「学べる分野もすごく多彩で、700以上にのぼるといわれています。グローバル会計学とか、技術畑のエンジニアが経営のリーダーになるコースとか、新しい分野もどんどん新設されているんです」もう一つの大きな特徴は、建築学が専門だった鵜飼さんが、異分野の経営学を学ぶことができるということ。
「学部の垣根は一切ないです。大学でアートを学んだ人が、大学院でITを学んでもいいし、MBA とソーシャルワークの修士号を両方とも取れるような“Joint-Degree Program”もアメリカの大学院では珍しくありません」この、“大学時代とは全く違う分野の勉強ができる”、そして修士や博士号が取れることは、社会人としてのとても有利だと、鵜飼さん。
「例えば音楽大学でピアノを専攻してきた人が、大学院で著作権に関する法律の勉強をしたとします。この人は音楽にも詳しいし、音楽の著作権に関することにも詳しい。とすれば、ユーチューブや無料配信など、著作権の規制がかからないことで困っている企業にとってものすごく有望な人材になる。100人に一人の人材だった人が、10,000人に一人の逸材として自分の市場価値を高めることができるんです」