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老後の日本帰国シリーズの7回目は永住権・市民権の放棄方法です。

 

1.永住権の放棄  

移民局、または在日米国大使館(総領事館)にグリーンカードを返却し、FormI-407(永住権放棄報告書)を提出します。FormI-407は、係官によって署名され、その場で写しが返却されるか又は後日郵送されます。同日以降、非移住外国人となります。  

窓口では放棄の理由を聴かれたりしますが“老後を日本で暮らすため”とか各人の放棄の理由を伝えれば特に問題はありません。

 

2.市民権の放棄  

在日米国大使館(総領事館)にパスポートを返却し、市民権放棄宣言書(ID-4080)を提出します。市民権の放棄はそれなりの理由がないといろいろと聴かれるようです。その場で係官による署名された写しが返却(後日郵送)されます。  

しかしながら、過去15年のうち8年以上のグリーンカード保持者及び市民権の放棄者の手続きはこれで完了とはいきません。IRSへの手続きが必要となります。

 

3.IRSへの手続  

つまり移民局、または在日米国大使館(総領事館)に永住権(過去15年のうち8年以上の保持者)または市民権の放棄手続きのあと、税法上の手続きとしてForm8854(放棄情報申告書)をIRSに提出する必要があります。  

過去15年のうち8年未満の永住権保持者は、IRSへの手続きは必要ありません。2008年6月一定の永住権・国籍離脱者(Expatriates)に適用される税務規定が変更され,出国する際に、「出国税」の納税が義務化されました。

 

4.過去15年の内の8年間の条件  

過去15年の内の8年間の条件を満たしているかどうかについては、

(1)特定年に1日でも永住権を保持していると、その年は永住権を一年間保持していたとみなされます。従って最短で6年と数日で出国税の8年の条件を満たすこととなり、出国税の対象になってしまいます。また、

(2)日米租税条約での「二重居住者の居住地確定」条項(“Tie-Breaker”条項)により、米国外の国の居住者として取り扱われた年については、永住権を保持していた年数に含めなくとも良いことになっています。  

 

次回に続きます。

 

市川俊治

民間企業勤務後、外務省改革の一環として始まった領事シニアボランティア制度の第1期生としてNY更にSF総領事館に合計6年間勤務。その官と民の経験・知識を基に海外在住者の年金・国籍・老後の日本帰国の問題のアドバイスを行っている。

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