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昨年11月公布された法律により、今年の8月1日より日本の年金を受給するために必要な加入期間が25年から10年に短縮されます。

日本の公的年金を受給する為には、これまで原則として各年金制度を通算して25年以上加入していなければ一銭も年金がもらえない制度になっていました。日本にずっと居住して24年11か月年金を掛けていても1か月足らないために一切の年金を受け取れなかったのです。

これまで年金受給をあきらめていた人が、一気に年金受給者になれる法律です。これまで当センターに年金の申請手続きを依頼された米国在住の方の中にも、カラ期間の活用や日米社会保障協定の活用をしても25年をクリアーできなかったため、10年改正を心待ちにしておられる方もおられます。その意味でも在米の日本の年金の短期加入者の方にとっても朗報といえます。

海外にお住まいの方は、仮に10年未満の加入期間しかなくても、「カラ期間」「米国年金加入期間」を活用して日本の年金の受給資格を取得できる可能性がもともと大きいのですが、今回の改正でより受給資格を獲得しやすくなりました。

これまで日本の年金受給を加入期間不足で諦めていた方も、今一度見直されることをお勧めいたします。

 

そもそも日本の受給資格期間は諸外国と比較しても、25年は長すぎると従来から問題となっていました。アメリカはご存じのとおり10年です。世界の受給資格期間を見てみますと、フランス、オランダ、ベルギーは無し、ドイツ、イタリアは5年、アメリカ、韓国は10年、スペイン15年です。25年から10年に短縮する背景には、諸外国に比して期間が長いことに加えて、無年金者対策、掛け捨て防止対策としての狙いがあります。

また、年金加入期間にカラ期間や米国年金の加入期間を加算しても10年に満たない方、年金額を増額されたい方は、海外から任意加入の国民年金に加入されることをお勧めします。また、65歳以上70歳未満の方で受給資格期間(10年)を満たしていない方は、最長70歳まで国民年金に加入することができますが、受給資格期間の10年を満たした時点で任意加入が終了となります。又、来年(2018年)9月末まで過去5年間の未納保険料を納付できる後納制度もありますので活用をお勧めします。

今回の受給資格期間の短縮は老齢給付が対象で遺族年金はこれまで通り変更はありませんのでご注意ください。今年の8月から実施される年金受給資格短縮により新たに受給資格ができる人の年金申請については8月を待たずに、本年3月以降受給申請が可能です。  受給資格があるのではと思われる方は、当センターにてボランティアで受給資格の調査を致しますので是非ご活用ください。

 

 

 

市川俊治

民間企業勤務後、外務省改革の一環として始まった領事シニアボランティア制度の第1期生としてNY更にSF総領事館に合計6年間勤務。その官と民の経験・知識を基に海外在住者の年金・国籍・老後の日本帰国の問題のアドバイスを行っている。

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