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老後の日本帰国シリーズの6回目は「永住権か市民権かーその③」です。  

 

日本の国籍法では二重国籍は認めていません。米国籍を取得された時点で日本国籍は喪失することになります。先日まわりの方に、二重国籍は認められているから大丈夫と言われ深く考えずにお子さんとご自身で米国籍を取得された方から、日本は認めていないことを今知ったのだが、日本国籍に戻れないかといった相談がよせられたことを前回お話しました。一方、自称二重国籍者の方が、老後日本に戻り米国籍を保持したまま日本人として日々の生活を送られている方も現実いらっしゃいます。  

しかしながら、私は米国籍を取得されたら、日本の総領事館に「国籍喪失届」を提出される等ルールに従ってご自身の国籍をはっきりされておくことをお勧めします。そのほうがその後発生するかも知れない各種法的手続き(税金、米国籍放棄、帰化等)もスムーズに進むことでしょう。何よりも精神的にすっきりし通関もびくびくせずにすみます。  

日本に帰国後は希望すれば帰化の手続きも元日本人であれば他の外国人に比べ制約が少なく早く申請も出来ます。また税金上の理由から米国籍を取得される方もいらっしゃいますが、相続、贈与に関し一人生涯で5.45ミリオンドルまでなら、市民、グリーンカード保持者に関係なく連邦税は掛かりません。(州税が有るかもしれません。例えばNJ州では、もし資産が675,000ドル以上の場合州税を払う必要があります)。  

 

日本人としてのアイデンティティーを失いたくない中で、国籍の選択に悩む方々を知るにつけ、私の願いは、少なくとも出生と結婚の場合は二重国籍を日本も早く認めてほしいということです。人、物、金、サービスがグローバル化し国境を越えて行き来する今、国境を越えた移住や国際結婚も増加しています。その存在は国と国との間のコミュニケーションを生み出す架け橋の役割を引き続き果たしてくださることでしょう。  

少子化対策で移民受け入れの議論も必要ですが、その前に日本人である方あった方の二重国籍を認めるのが先決ではないでしょうか。日本人として思い切り世界で活躍をしていただくためにも。

 

 

市川俊治

民間企業勤務後、外務省改革の一環として始まった領事シニアボランティア制度の第1期生としてNY更にSF総領事館に合計6年間勤務。その官と民の経験・知識を基に海外在住者の年金・国籍・老後の日本帰国の問題のアドバイスを行っている。

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