今回は“老後の日本帰国”シリーズに戻り“外国人に対する社会保障・福祉制度“についてお話を致します。市民権を取得された方は、外国人として日本に帰国することになります。日本での外国人に対する社会保障・社会福祉制度は、基本的に日本人と同じ待遇です。
公的医療保険(窓口:市町村役場)
日本の滞在期間が90日以上の方(在留カード保持者)で、職場の健康保険に加入していない人は、国民健康保険(国保)に強制加入となりますので入国して住所が定まってから14日以内に加入手続きをする必要があります。制度は日本人と外国人の区別はありません。加入申請した日から国民健康保険の加入者となり少ない負担で治療を受けることが出来ます。国民健康保険制度は①国民健康保険(74歳未満の方が対象)②後期高齢者医療保険(75歳以上の方が対象。なお、国民健康保険の加入者の方は、75歳になると自動的に後期高齢者医療の加入者に切り替わります。)③介護保険の3種類に分かれます。
介護保険は40歳以上の方が加入者となって保険料を納め、介護が必要になったときは、介護保険サービスを利用できる制度です。65歳以上の方は第1号被保険者(加入者)に分類され介護や支援が必要で「要介護・要支援認定」を受けた場合に、介護サービス・介護予防サービスを利用できます。40歳から64歳で公的医療保険に加入している方は第2号被保険者となり、特定疾病が原因で「要介護・要支援認定」を受けた場合に、介護サービス・介護予防サービスを利用できます。
*医療費の自己負担割合
①国民健康保険:加入者の医療費等の自己負担割合は69歳までの加入者は3割を負担、所得に応じ70歳から74歳は1割~3割となります。
②後期高齢者医療保険:加入者の医療費等の自己負担割合は所得に応じ1割又は3割となります。
③介護保険:利用者の負担割合は1割又は2割です。一割負担の方は、第2号被保険者(40歳から64歳の方)及び第1号被保険者(65歳以上)で本人の合計所得金額が160万円未満の方等です。2割負担は1割負担以外の方です。
*保険料
運営しているのは国ではなく市区町村です。そのため、国保のサービス・制度は、基本的なところは同じですが、支給金額や条件、保険料などは、住んでいる地域によって多少異なる部分があります。国保では、大人や子どもの区別なく、一人ひとりが被保険者ですが、加入は世帯ごとで行います。 国民健康保険の保険料(国民健康保険税)は、
①医療分保険料
②後期高齢者支援金分保険料
③介護分保険料(40歳以上65歳未満)
の3つの合計額からなります。そして、それぞれについて、所得割・資産割・均等割・平等割の4つのポイントから保険料を算出します。これらの組み合わせ及び各項目の金額・割合(%)は、各市町村が個々に定めます。
次回は負担額のイメージがより理解できるようご説明いたします。
市川俊治民間企業勤務後、外務省改革の一環として始まった領事シニアボランティア制度の第1期生としてNY更にSF総領事館に合計6年間勤務。その官と民の経験・知識を基に海外在住者の年金・国籍・老後の日本帰国の問題のアドバイスを行っている。 海外年金相談センター http://nenkinichikawa.org 〒162-0067東京都新宿区富久町15番1-2711号 E-Mail:[email protected] 電話/FAX:03-3226-3240 |