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現在“老後の日本帰国”をテーマに採り上げシリーズで掲載していますが、今回は日本国籍の再取得するための手続きつまり“帰化申請の手続”についてお話をいたします。日本に米国籍で帰国された方が、もう米国に戻ることは無い、税金を日米に支払うのを避けたい等々の理由で日本国籍を再度取得される方がいらっしゃいます。日本国民でない方(外国人)が帰化によって、日本の国籍を取得することが出来ることが国籍法第4条で定められています。帰化の許可条件が国籍法第5条に定められています。それは次の6つです。

 

①住所条件…帰化申請時までに引き続き5年以上日本に居住していることが必要です。

②能力条件…年齢が20歳以上であって、かつ本国の法律によって行為能力を有すること。20歳(現在の日本における成人年齢)つまり民法上の概念ですが単独で有効な行為能力をなしうる資格のことです。また「本国法により行為能力を有すること」とは米国で成人年齢に達していることですが、州により異なりますのでご注意ください。

③素行条件…素行が善良であること。つまり犯罪歴の有無、態様、納税状況等社会通念で判断されます。

④生計条件…生活に困ることがなく、暮らせること。生計を一つにする親族単位で判断されるので、申請者自身に収入がなくとも条件を満たせます。

⑤重国籍防止条件…原則として、帰化によりそれまでの国籍を喪失することが必要となります。

⑥憲法尊守条件  

 

ただし同第8条にその例外規定があり、その3号に「日本の国籍を失った者で日本に住所を有する者」に対しては5条の一部条件(①、②、④)を満たさなくとも帰化を許可することが出来る旨規定されています。この規定の適用を受 ける方は(1)日本国籍であってその後米国籍を取得された方(2)日本国籍の両親又は父母いずれかが日本国籍の親が、生まれたお子さんの出生届を、出生後3ヶ月以内に届けなかったことにより日本国籍を喪失されたお子さんは、20歳までに日本に住所を定めれば帰化の申請が出来ます。申請は、帰化の希望者が15歳以上であれば本人、15歳未満であれば法定代理人が行います。

 

(1)(2)のケースのいずれの方も、日本に戻られ住むところが定まったら、すぐ帰化の申請が出来ます。申請に手数料は掛かりません。帰化申請は、お住いの最寄りの地方法務局で行ないます。必要申請書類は①帰化の動機書②国籍を証する書面③親族の概要等ですが個人により異なりますので申請の場合は法務局又は地方法務局にご相談下さい。

(日刊サン 2016.9.24)

 

市川俊治

民間企業勤務後、外務省改革の一環として始まった領事シニアボランティア制度の第1期生としてNY更にSF総領事館に合計6年間勤務。その官と民の経験・知識を基に海外在住者の年金・国籍・老後の日本帰国の問題のアドバイスを行っている。

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