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ローカルニュースをご覧の方は、昨年10月に話題となった超巨大な住宅についてご存知かもしれません。Houghtailing Street(リリハ地区)で29部屋の寝室、17個のバスルームを含んだ住宅が大きな問題として取り上げられました。外観は3階建てのアパートにしか見えないのですが、建築許可申請上はtwo-family detached dwelling(2軒の戸建て住宅)となっています。二家族で住むことができる住宅ですが、一部を貸し出したり切り売りしたりすることは禁じられています。しかし近隣住民は、本来の用途ではなく違法に複数の家族に貸し出すのではないかと大いに反対活動をしていました。この件を深刻に受け止めた役所は、巨大住宅の建設を禁止する新たな法案を提出しました。反対活動もありましたが、ついに3月13日に市長が署名をし、今後2年間という期間限定で施行されることになりました。

 

大きめの住宅を建設する際に多大に影響する

 

アパートとして複数の世帯が住むことを問題視して制定された今回の法律ですが、実際何を持ってして巨大住宅と認定されるのかという見極めが難しいとして物議を醸しました。結果、対象となるのは敷地面積の70%を超える延べ床面積の住宅と定められました。例えば、5,000sqftの土地であれば、3,500sqftとなるので、1,750sqftの二階建ては対象となってしまいます。対象となってしまった場合には市議会が別途個別に審査をして、違法に貸し出す可能性があるのかどうかを精査します。もし、違法に使う可能性があると判断されてしまった場合には建築許可を得ることはできません。また、この審査は最大60日間かかるので、建築許可申請に要する時間がさらに延びてしまうことが予想されます。

 

セットバックや必要な駐車スペースも変更

 

今回新たに制定された法律では、他にも既存の建築基準法からの変更点があります。敷地境界線からのセットバックは住宅において道に面している部分は10フィート、その他は5フィートとされていましたが、今後4,000sqftの住宅では7フィート、5,000sqftでは9フィートと2フィートずつ増加していきます。駐車スペースも4,000sqftを超える住宅においては6台必要となります。4台以上駐車スペースがある場合には、車は頭から入り、敷地内で切り替えして道路へ頭から出ることができなければならないので、ドライブウェイにかなりの面積が必要とされます。平均より少し大きめといった程度の住宅でも対象となるため、かなり多くの人に影響を与えることになるでしょう。詳しいことは土地の面積や立地によっても異なりますので、まずは建築士にご相談ください。

(日刊サン 2018.03.21)

 

 

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鵜飼 高生

Takao Ugai 建築士・AIA・LEED AP・博士(建築)・家庭塾長 Focus Labo LLC 代表取締役 Email: [email protected]

明治大学建築学科卒業後、ハワイ大学マノア校で建築の博士号を取得。日米両国での建築設計実務経験がある、経験豊富なハワイ州登録建築士