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建築許可申請の最近の変化(2)

 

近年、建築許可申請に大幅な時間がかかっており、昨年度は大きく取り上げられ問題となりました。小規模な改築・増築で半年~9ヶ月、新築であれば2年近くかかるケースも稀ではありませんでした。そこで、役所も制度改正をし、先週は一世帯及び二世帯住宅において、2ヶ月以内にレビューをするという新しい制度が始まったことをご紹介しました。

 

今回は第三者機関と呼ばれる、認可を受けた民間企業が代わりに設計図をレビューをすることについてご紹介します。こちらの制度については昔からあるのですが、第三者機関がレビューをした図面を役所が最後にチェックします。このチェックに2ヶ月かかることも珍しくありませんでした。昨年は本当にすべての認可関連のプロセスに時間がかかり、そのせいでたくさんの工務店が縮小もしくは廃業にまで追いやられてしまいました。その影響で役所もいくつかの変更をすることが決定されました。

 

第三者機関がレビューした図面は自動的に許可が発行

今まで第三者機関がレビューしたものを役所が再チェックをするという二度手間をしていたのですが、当然ヒューマンエラーを防ぐためです。また、第三者機関と建築士とは、民間企業同士のやりとりですので、仲が良いから甘めに審査をするといったこともあったかと思います。そういった不正を防ぐ役割もしていたと思いますが、今後役所は一切チェックをしなくなります。建築許可申請のプロセスは早まり、またいつぐらいに認可がおりるのか読みやすくなるため、工務店も認可がおりたと同時に工事開始することが可能となります。

 

不正もしくはヒューマンエラーがあった場合

もし第三者機関が故意・不故意関わらず、何かしらの法規を見逃していた場合、それは当然許されません。工事開始と共に、インスペクターと呼ばれる役所の監査人が工事現場に定期的に見に来るのですが、そこで法規違反を見つけた場合にはただちに工事中断命令が下されます。また、すでに認可がおりている図面上で違反が発覚した場合には、その建築士は1年間建築許可申請ができなくなるという大きなリスクが伴います。第三者機関側には何のお咎めもないので、建築士側が今まで以上に慎重に法規チェックを行う必要性が出てきて、今後の設計料の増加が予想されます。

 

コラム筆者:鵜飼 高生 Takao Ugai

建築士・AIA・LEED AP・博士(建築)  Focus Design Studio 代表取締役

明治大学建築学科卒業後、ハワイ大学マノア校で建築の博士号を取得。日米両国での建築設計実務経験がある、経験豊富なハワイ州登録建築士。

Email: [email protected]

(日刊サン 2019.02.08)