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オーナービルドについて

 

知り合いのハンディマンに工事を依頼したり、ご自身で工事をする等、免許を持っていないコントラクターが工事を行うことは可能なのかと、最近よく相談を受けます。そこで今回は、「オーナービルド」という方法をご紹介致します。

 

オーナーの全責任なら無免許で工事を行うことは
できるが非推奨

結論としては、コントラクターの免許がなくても工事を行うことができます。ただ、その条件として、すべての責任をオーナーが負う必要があります。コントラクターは工事をする部材を買ってきて組み立てるだけの人ではなく、様々なサブコントラクター(下請け業者)を雇い、指揮するという重要な役割を果たしています。なので、そのような経験がない方や、委託できるような知り合いがいない場合にはとてもリスクが高いためお勧め致しません。

また、サブコントラクターも含め、すべての責任がオーナー自身にかかることのリスクの例をいくつかあげてみましょう。例えば、工事中に不慮の事故が起きた場合の保障や、インスペクターをしかるべきときに呼ぶ義務。また、オーナーであっても建築許可図面に忠実に施工する必要があり、デザインを変更した場合には再度建築許可を取得しなければならない可能性もあります。特に、誰かが屋根から落ちる等して大きな怪我をした場合には数百万ドルもの賠償金を支払わなければならない事態に至る可能性もありますので、保険に入ることは絶対に必要です。

 

電気と機械だけは要資格保持者が必要

オーナービルドであっても電気工事士と機械工事士(配管や空調)は必要となってきます。もちろん、電気と機械工事が絡まないような工事内容であれば必要はありませんが、オーナーであっても無資格者が触れることは許されておらず、建築許可書を受け取る際に、電気と機械工事士の署名付きの書類を用意する必要があります。

 

一年間リースやリセールができない

免許保持者が工事を行っていない場合、建物の信頼性に疑問があるため、工事完成後1年間は貸したり売ったりすることができません。また、1年以内はオファー(広告など)も出すことができませんので注意が必要です。ただ例外として、工事内容が$10,000未満の場合や自分の会社の従業員であれば1年未満であっても貸したり売ったりすることは可能です。

その他、オーナービルドであっても各種法律に準拠しなければならず、知らないうちに法律違反をしていたなんてことは良くあります。工事のやり直しを命じられるだけでなく、罰則もありますので結局コントラクタ
ーを雇うよりも高くついてしまったなんてことになりかねません。

少し節約をしようとして大きく損することは十分にありえますので、きちんと免許を保持しているコントラクターに依頼されることを強くお勧め致します。

 

コラム筆者:鵜飼 高生 Takao Ugai

建築士・AIA・LEED AP・博士(建築)  Focus Design Studio 代表取締役

明治大学建築学科卒業後、ハワイ大学マノア校で建築の博士号を取得。日米両国での建築設計実務経験がある、経験豊富なハワイ州登録建築士。

Email: [email protected]

(日刊サン 2018.10.03)