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不動産(中古物件)を買う際の注意点(2)

 

前回は、不動産を買う際には建築申請の状況やアスベスト、鉛を含んだペンキが使われているかということを気をつけないといけないということをご紹介させて頂きました。今回はその他に注意すべき点を建築士の視点からいくつかご紹介させて頂きます。

 

とにかく隅々まで見る・試す

中古のモノを買う際は、車でも何でもそうだと思いますが、基本は「すべて試してみる」ということです。ドアや窓は全部開け閉めをし、電気もすべてつけてみて、水道もお湯を出してみたり、バスタブに水を溜めてみたり、動くものはすべて動かしてみて下さい。そこで少しでも違和感があったら徹底的に調べます。気になる点があった場合、できれば建築士や工務店等、専門家を呼ぶことをお勧めします。例えばドアが開きづらいものがあった場合、単にヒンジが錆びているだけなら良いのですが、建物全体がゆがんでいる可能性があります。また、内外壁に斜めにヒビが入っている場合も同様です。傾いた建物を直すのは大掛かりな工事が必要となりますので、購入を見送っても良いですし、また、その点を交渉材料にし値引きを試みるのも自由です。また、ハワイではシロアリ被害がとても多いので、特に気をつけましょう。もちろん、購入時にInspectorと呼ばれる検査員が調査しますが、チェックリストに従い現状を報告するにとどまります。何か問題点を発見した場合、その問題から派生するさらに大きな問題や、原因となるものまではやはり通常教えてもらえない場合が多いので、個人でさらに調査をするか判断をしたほうがよいでしょう。

 

築年数に注意

当然ですが、古ければ古いほど注意が必要になります。すぐに建て替えてしまう日本とは違い、建物の平均寿命が非常に長いので、築50年以上の住宅・コンドミニアムはそこら中にあります。しっかりとリフォームされていれば、新築よりも安く、快適に住むことができるので人気があると思います。ただ、どれだけメンテナンスをしていたとしても、建材には寿命があります。例えば鉄筋コンクリートの寿命はきちんと施工されたとして80年~100年といわれています。また、海岸部では塩分がコンクリート内部に侵食し鉄筋と反応することで通常よりも早く腐食されてしまいますので、購入時にはこれらの内容も踏まえた適切な判断が必要でしょう。

 

専門家を雇う必要は?

一般的に自分でチェックしてみて気になる点がなければわざわざ雇う必要性はあまりないと思います。ただ、大規模な建物や、商業利用の場合には一度相談されることをお勧めします。建物によってはレストラン等に改築することが非常に困難な場合や、また、立地によって不可能な場合もあるので十分に注意しましょう

 

コラム筆者:鵜飼 高生 Takao Ugai

建築士・AIA・LEED AP・博士(建築)  Focus Design Studio 代表取締役

明治大学建築学科卒業後、ハワイ大学マノア校で建築の博士号を取得。日米両国での建築設計実務経験がある、経験豊富なハワイ州登録建築士。

Email: [email protected]

(日刊サン 2018.08.15)