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 PCで仕事をすることが当たり前になってもう20年ほどになります。その後、飛躍的に進歩を遂げ、どの職種でも業務内容や作業工程が大きく影響されたと思います。建築設計も例を漏れず、手書き図面からパソコン上で製図をするCADと進化を遂げてきました。今回はさらにその先の最新技術について少しご紹介したいと思います。

 

現在はBIMが主流

 日本ではそこまでシェアが伸びていませんが、アメリカの設計事務所ではBIMがCADのシェアをもう超えました。CADとは作図ソフトで今まで手書きで一本一本線を引いて図面を起こしていたものをPC上で描くことができます。BIMではBuilding Information Modelingの略で、三次元上に現実に限りなく近い建物を描き、それを元に図面を起こしていくというソフトです。ただ三次元なだけではなく、それぞれの建材に情報を与えることで断熱性能や熱容量を計算したり、コスト計算もすることができます。さらに紙面上ではなかなか気づきにくい配管と梁との干渉等、施工中に起こりうるトラブルも予め回避することが可能になりました。

 

レーザーポイントクラウド測量

 まだまだ採用している企業は少ないですが、測量も自動化が進んでいます。360度回転できる画像を皆さん見たことが一度はあるかと思うのですが、その一歩先に進んで、360度三次元で物体を捉えることができる技術です。数千万ものレーザーを放射し、それぞれの点までの距離を測量し、三次元空間をPC上で再現することができます。膨大なデータ量と処理が必要になるため、かなりハイパワーなマシンが必要となりますが、測量しづらい部分も正確に測ることができるのはとても便利です。

 

設計者の負担は減らない

 様々な技術が発展していますが、今のところ飛躍的に建築設計の負担が減るような技術はありません。どちらかというと、トラブルが起こらないように正確に設計するためのツールといったところです。また、それぞれのソフトはとても高価なだけでなく操作方法はかなり煩雑で、習得するまでに時間を要します。今後さらに様々なソフトが出てくるでしょう。  建築の工法等も日進月歩ですので、日々の業務に追われるだけでなく、どれほど最新のテクノロジーを勉強し続けることができるかというのが建築士の責務のように感じます。

 

(日刊サン 2017. 12. 20)

 

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鵜飼 高生 Takao Ugai 建築士・AIA・LEED AP・博士(建築)・家庭塾長 Focus Labo LLC 代表取締役

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明治大学建築学科卒業後、ハワイ大学マノア校で建築の博士号を取得。日米両国での建築設計実務経験がある、経験豊富なハワイ州登録建築士。