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 最近一気に涼しくなってきたハワイですが、それでもやはり常夏というだけあり、日本と比べると年中暖かいです。建物も日本と同じように建ててしまっては快適な住環境・労働環境を構築することはできません。今回はどのような日よけ対策をすればハワイで快適な環境をつくることができるのか紹介していきます。

 

 近年流行のガラス張りタワマンは快適か  

 皆さんご存知の通り、カカアコを中心として現在高層タワーマンションが数多く建設されています。私のお客様でもご購入された方は何人もいらっしゃるのですが、セントラルエアコンが完備されているにも関わらず、日中ものすごく暑いという話を良く耳にします。床から天井までガラス張りで、日よけが全くされていないため、直射日光が部屋に入ってきます。エアコンをつけていますから、窓は締め切っていて風は全く吹きません。日光による発熱にエアコンが追いついていない状態です。近年制定された省エネルギーの法律によりエアコンも大規模なものを設計できなくなっているので、建物のデザインで解消するしかないというのが現状です。

 

 直射日光を室内に入れない工夫が必要  

 日よけというと屋根や庇(ひさし)のイメージが強いと思いますが、実は方位によっては全く意味がありません。太陽は東からのぼり、夏場は頭上を通り、冬場は南側から西に降りていきます。どれほど長い屋根を設置しようと、東からは朝日が、西からは夕日が真横から室内に入ってきます。これを防止するには、縦方向のルーバーが最も効果的です。Punchbowl沿いにあるDepartment of Transportation Servicesの建物がとても良い例です。西向きに建っておりますが、夕日を遮るように建物全体にルーバーがかかっています。

 また、逆に南側は屋根や庇が非常に効果的です。上階にラナイを設置することもとても実用的かつ有効的です。Ala MoanaにあるPark Laneはその点を良く理解した良いコンドミニアムだと思います。大半の住居が南向きで、ラナイが大きく南側にせり出しており直射日光を防いでいます。高層コンドミニアムの場合にはデザイン性や景色を重視するため、日よけ対策を最優先することはなかなか難しいのですが、一軒家等の低層建築の場合にはわりと簡単な方法で実現することができます。木陰にいれば日中でもとても快適なハワイですから、エアコンがなくても快適な住環境を実現することは当然可能ですので、お悩みの方は建築士に一度相談されてみてはいかがでしょうか。

 

(日刊サン 2017. 12. 06)

 

 

 

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鵜飼 高生 Takao Ugai 建築士・AIA・LEED AP・博士(建築)・家庭塾長 Focus Labo LLC 代表取締役

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明治大学建築学科卒業後、ハワイ大学マノア校で建築の博士号を取得。日米両国での建築設計実務経験がある、経験豊富なハワイ州登録建築士。