日刊サンWEB

過去記事サイト

@PIXTA

 

 

建物を新築、増減築、改築する際に不可欠な過程であり、かつ大きなネックとなりうる建築許可を取得するまでの所要時間についてご紹介します。  

ホノルル市役所は深刻な人員不足に直面しており、認可が下りるまでに非常に時間がかかってしまいます。まだお金が貯まっていないから1年貯めて来年から計画しよう…と考えていると、完成するのは今から3年後ということにもなりかねません。とても長いプロセスですので、予め知っておくと無駄な時間を過ごすことなく計画的に行動することができるでしょう。

 

新築か改築か、また商業施設かで大きく異なる  

建築の規模でももちろん認可が下りるまでの所要時間は変わるのですが、新築なのか改築(増減築)なのか、また住宅なのか商業施設かでも大きく変わってきます。  

まず最短は住宅の改築です。時期にもよりますが、1~4カ月程度でおりる場合がほとんどです。その間にコントラクターを探したり、冷蔵庫や洗濯機を探したりできるので、期間的にもちょうど良い具合になります。ただ、改築であっても商業施設の場合は別です。役所内では住宅と別のルートを辿ることになるので、特に何も問題がなかった場合で半年ぐらいは覚悟した方が良いです。ちなみに、商業施設というのはレストランやリテール、オフィスはもちろんですが、3軒以上の繋がった住宅も該当します。よって、アパートやコンドミニアムの改築も含まれるということなので注意が必要です。  

新築の場合、ホノルル市ではePlanというオンラインのシステムを利用しなければなりません。紙面ベースではなくコンピュータを用いた許可申請プロセスのため、そのシステムを利用できる役人が少ないのか、非常に時間がかかります。こちらは今現在最低でも1年はかかると思っていただいた方が良いと思います。そんなに待てないという方は、Third Party Reviewerと呼ばれる民間の認可を受けた企業に別料金でレビューをしてもらい、期間を短縮することができます。

 

Neighborhood、AOAOの認可も必要  

コンドミニアムであれば、その管理者からの認可も必要となり、認可がおりなければ着工することができません。また、ワイキキやダイアモンドヘッド、チャイナタウンといったSpecial Design District内の物件では、外観のデザインレビューが通常の建築許可に加えて行われるため、通常よりも時間と手間がかかってしまいます。

 

建築許可が下りる前に工事をすることは可能  

ホノルル市もあまりに許可に時間がかかることは良く理解しており、その打開策として許可が下りる前に工事をすることを認めています。早めに工事を始めたければCourtesy inspectionというものを申請し、認可されれば許可が下りずとも工事をし、工事途中で行われなければならないInspection(検査)も受けることができます。一般的な例を挙げましたが、建築は個々に大きくことなりますので、具体的なことはきちんと建築士までご相談ください。

 

(日刊サン 2017. 9. 20)

 

 

*建築に関して知りたいこと、ご質問のある読者の方は、下記までメールをお送りください。

 

鵜飼 高生 Takao Ugai 建築士・AIA・LEED AP・博士(建築)・家庭塾長 Focus Labo LLC 代表取締役

Email: [email protected]

明治大学建築学科卒業後、ハワイ大学マノア校で建築の博士号を取得。日米両国での建築設計実務経験がある、経験豊富なハワイ州登録建築士。