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今回は様々なエレベーターについてご紹介致します。高齢化に伴い、バリアフリーの住宅をお考えの方も多いと思います。また、大規模建築の計画の際にエレベーターは必須です。一言にエレベーターと言っても種類があり、それぞれ利点・欠点があるので選定には注意が必要です。

 

油圧式エレベーター(Hydraulic Elevator)

最も安価なエレベーターの種類です。最下層にピストンを設置し、その部分に油を注入していくことで圧力を上げ、油圧をもって貨物・人を上階に運ぶシステムです。油圧を利用しているため、最高で8階程度までしか持ち上げることが難しいうえ、速度も遅いことが大きな欠点です。また、稀にその油が漏れてしまう事故が起き、その際の清掃及び修理は大変ですが、特に何もなければメンテナンスは非常に安価で済みます。ただ、ランニングコスト(電気代)は他のものに比べて高いと言えるでしょう。身近な例ですと、カハラモールの駐車場のエレベーターがこちらのタイプを採用しています。

 

トラクション式エレベーター(Traction Elevator)  

ロープで箱を吊るし、最上階上部に滑車・モーターを置き、反対側には錘でバランスを保っています。錘があることによって、少ないエネルギーで上下することが可能になっています。また、滑車部分にギアを配備することで、モーターの回転数以上に速度を出すことができ、現段階で最も早く安定した運行をすることができます。ただ、ロープや滑車の点検は定期的にする必要があり、メンテナンスコストは高いですし、イニシャルコストも油圧エレベーターに比べると高くなります。超高層ビルの場合にはロープをカーボンファイバー製にすることで耐久性を増す等、色々と工夫が施されています。

 

機械室がないエレベーター  

油圧式エレベーターは最下階の下に、逆にトラクション式は最上階の上に機械室が必要となります。高さ制限がある場合や、地下を掘るのが困難な場合には採用が難しいでしょう。そのような場合にはエレベーターシャフトの側部に機械室を設置できるタイプのものがあります。トラクション式とイニシャル・ランニングコストは大して変わりませんが、エネルギー効率はこちらの方が良い傾向があります。移動スピードはギアのあるものに比べると劣りますが、油圧式エレベーターの倍ぐらいの速度を出すことが可能です。エレベーターシャフトの中にモーターが配置されるため、建築基準法で危険と判断された経緯があり、その結果普及はあまりされていませんが、今では安全に利用することができ、中層ビル(250フィート程度)に設置することがお勧めです。

 

(日刊サン 2017. 9. 8)

 

 

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鵜飼 高生 Takao Ugai 建築士・AIA・LEED AP・博士(建築)・家庭塾長 Focus Labo LLC 代表取締役

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明治大学建築学科卒業後、ハワイ大学マノア校で建築の博士号を取得。日米両国での建築設計実務経験がある、経験豊富なハワイ州登録建築士。