日刊サンWEB

過去記事サイト

住居の一部を賃貸できる制度(ADU) について②

前回に引き続き、すでに所有している持ち家を活用して、その一部で賃貸収入を得ることができるADUという制度についてお話します。ハワイの地価向上に伴って近年導入された制度で、より多くの賃貸物件を確保することを目的に制定されました。適用条件も緩く、ほぼすべての一軒家で実現できるのでとてもお勧めです。

 

規定以上に大きく見せることが可能  

通常ADUは敷地面積が3,500sqft以上であれば最大400sqftまで、5,000sqft以上であれば800sqftまで、新たに追加の部屋を増築することができます。400sqftといえば小さ目のStudioのサイズですが、それでもキッチンやランドリーも建設できるため副収入の期待ができます。また、デッキをつくり、Trellisと呼ばれる格子状の日よけを併設することもできます。このデッキ部分については規定の面積に計上されないため、より多くの面積を確保することができ、ゆったりとした生活空間が作れるのです。

 

オハナからADUに変更ができる  

すでにオハナという制度を利用し、二世帯住宅をお持ちの方は、オハナからADUに変更することができます。オハナでは、地主と血縁関係のある人のみ居住することが許されていますが、ADUに変更すれば血縁を問わず誰にでも貸し出すごとができるので、収入も得られます。また、増築や申請の費用はADUを貸し出した副収入から税金控除を受けられるので、実質ほとんど出費もなく工事することも可能です。ただ、バケーションレンタルといった短期滞在者向けには貸せず、最低6カ月のリース契約が必要となりますのでご注意下さい。

 

老後も安心  

母屋に住み、離れをADUとして貸し出すのが一般的ですが、逆に母屋を貸し出すことも可能です。失業や怪我、病気、またリタイヤをすること等により収入が激減した場合の保険として用意しておけば、万が一のときにも大きな固定収入を得られる安心感は大きいと思います。工夫次第では、空き部屋を利用してほとんど建設をせずに今の住宅を改築するだけで賃貸物件を用意することができます。もしくは、使っていない裏庭があれば、そのスペースに新たに建設し、副収入でローンを返済していくといった方法も有意義かもしれませんね。もしご興味がおありの方は建築士に相談してみてはいかがでしょうか。

 

 

鵜飼 高生 Takao Ugai 建築士・AIA・LEED AP・博士(建築)・家庭塾長 Focus Labo LLC 代表取締役

Email: [email protected]

明治大学建築学科卒業後、ハワイ大学マノア校で建築の博士号を取得。日米両国での建築設計実務経験がある、経験豊富なハワイ州登録建築士。