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日本とハワイの家で最も顕著な違いは、温水システムではないでしょうか。日本はタンクレスのガス瞬間湯沸器が大半を占めていますが、ハワイでは大きなタンクに貯水をして、電気で温めるウォーターヒーターが利用されているケースがほとんどです。水を温めるという目的は同じものの、そのシステムの違いや使用方法により、間取りも注意しなければなりません。

 

タンクの容量分しか一度に温水を使えない  

日本のガス瞬間湯沸器の場合には、使うたびに使う分だけ水を温めているため、制限なく利用することができます。タンク式温水器の場合には水を溜めて温まるまで時間を要するため、一度にタンク内の温水をすべて使ってしまうと、その後は冷水しか出ません。お風呂にお湯を溜めたりして、止めるのを忘れたりするとすぐになくなってしまうので注意が必要です。また、食器洗いやシャワー、洗濯機を同時に利用してもすぐになくなってしまうので、タイミングを見計らう必要が出て少し不便です。

 

タンクから遠いと温水が出るまで時間がかかる  

一般的にタンクは一軒に一つしかありません。タンクは結構場所をとるので駐車場や裏庭に配置されがちですが、タンクからの距離が遠いと当然ですが、温水が出るまでに時間を要してしまいます。一般的な大きさの一軒家であっても、水周りとタンクが離れている場合、温水が出るまでに1分以上要することはよくあります。その間、冷水を流しっぱなしにしなければならず、とてももったいないです。毎日のことですので、上下水道代も心配ですよね。最初に配置する際に少し工夫して、水周りをまとめ、その中心位置付近にタンクを配置するか、タンクを二つ配置することをお勧めします。

 

太陽熱温水器で電気代節約  

新築住宅であれば、必ず設置が義務付けられていますが、既存の住宅でも太陽熱温水器を設置すれば、飛躍的に電気代を節約できます。タンク内の水を屋根まで循環させ、太陽熱で水を温め、気温が低い場合や太陽が出ていない時に補助的に電気で温めます。試しに電気を止めて実験してみたことがありますが、シャワーや食器洗い等では全く問題ないほど水が温まります。

 

日本仕様にすることも可能  

それほど出回ってはいませんが、ハワイでも瞬間湯沸器を設置し、ガスか電気で温めることが可能です。ガスは二酸化炭素が発生してしまうため、必ず設置箇所には換気が必要な点だけはご注意下さい。また、瞬間湯沸器であっても、設置箇所から離れた場所では、温水が出るまでに時間を要してしまうため、上記の内容を総括的に考える必要があるでしょう。

 

 

 

鵜飼 高生 Takao Ugai 建築士・AIA・LEED AP・博士(建築)・家庭塾長 Focus Labo LLC 代表取締役

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明治大学建築学科卒業後、ハワイ大学マノア校で建築の博士号を取得。日米両国での建築設計実務経験がある、経験豊富なハワイ州登録建築士。