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最近、レストランを開きたいといったお問い合わせを多くいただきます。そこで今回は、レストランを開業するにあたって、建築的な観点から、いくつか注意点をご紹介したいと思います。  

ハワイには数え切れないほどの和食レストランがあり、介入しやすいビジネスかと思われがちですが、特に日本でレストランを経営された経験のある方ほど、アメリカの法規の厳しさ及び工費の高さに困惑されます。日本では必要でないことでもアメリカでは義務付けられているものが数多く存在し、イニシャルコストも大幅に膨れ上がってしまいます。

 

日本とは異なる数多い法規・条例  

全部挙げるときりがないですが、特に安全面はとても重んじられています。収容人数が50人を超える場合、避難経路が2箇所以上必要であったり、また、人数に応じて避難経路の道幅も広くとる必要があります。キッチンでは、耐火材料を使うことはもちろんのこと、下水道に直接油が流れこまないようグリーストラップの設置も必ず義務付けられています。さらに、ワイキキにおいては、屋外に煙を流すこと自体が禁じられており、エコロジーユニットと呼ばれる煙を除去する大掛かりな機器の設置も必要となってきたりと、思いも寄らないところで施工費用が大幅に膨らんでしまうことがあります。

 

居抜き物件であっても注意が必要  

前テナントが造作した店舗の内装や厨房設備などがそのままの状態で残っているような居抜き物件であれば、安価でかつ早くお店をオープンできると思いがちですが、必ずしもそうとは限りません。ほとんどの場合、レストランで提供するメニューが変更されたり、内装の改装をすると思います。そうすると、厨房の改築はもちろんのこと、機械工事(エアコン・上下水道の配管・換気ダクト)や電気工事が必要となり、建築許可を取得する必要がでてきます。建築士を雇い、建築許可を取り、やっと工事が着工できるので、デザイン開始から店舗オープンまでは6ヶ月程かかると考えてよいでしょう。その間、家賃を払い続けるのか否かによっても初期投資の金額は大きく変わります。建物のオーナーとの交渉次第では、建築許可がおりるまでは家賃を免除してもらえたり、また、改築費用を一部負担してもらえるケースもありますので、粘り強く交渉することをお勧めします。また、立地・建物の状況によっては、そもそもレストランをオープンすることが不可能であったり、想定外の莫大な費用がかかることもあります。リース契約前に一度建築士に現場を見てもらい、大まかな費用や工事の必要性も含め相談することが大切です。何かご質問等ございましたらお気軽にお問い合わせ下さい。

 

 

 

鵜飼 高生 Takao Ugai 建築士・AIA・LEED AP・博士(建築)・家庭塾長 Focus Labo LLC 代表取締役

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明治大学建築学科卒業後、ハワイ大学マノア校で建築の博士号を取得。日米両国での建築設計実務経験がある、経験豊富なハワイ州登録建築士。