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ここ数週間に渡り、特別区域(Special Districts)についてご紹介しております。特別区域とは都市計画の一環です。利用者にとって快適かつ便利な街並みを推奨したり、歴史や文化を継承させたり、色やデザインについて制限をかけ、街全体に統一感を出したりすることで街全体の価値をあげることを目的としています。ハワイには8つの特別区域が制定されており、今回はノースショアのハレイワ地区についてお話しさせていただきます。

 

ハレイワ特別区域  

今ではオアフ島の主要な観光スポットの一つとなっているハレイワ地区ですが、1800年代後半にプランテーションの街としてハワイ史においても重要な役割を担っていた場所でもあります。当時の景観を守るために、地域の建造物には高さ制限やデザインの指定など様々な規制があります。

 

現状維持が原則  

具体的な規制内容は色々と細かく分かれており複雑ですが、根本的には出来る限り現状維持に努め、新たな建物も既存のものと似たようなデザインにしようといったものです。いくら地主が現代建築を建設したくても、実現することは不可能です。ファサードデザインや建材、色、看板まで、多岐に渡って既存の街並みから浮かないように規制されています。  

また、ハレイワ地区はのどかな田舎であり、そののどかさもまた重要な特徴の一つと捉えられているため、過度な発展も望ましくないとされています。その関係も含め、建ぺい率は低く、高さ制限も30フィート(約9メートル)までと商業地区としてはかなり低く設定されています。  

ただ、その甲斐あってかどの建物も小規模で可愛らしいデザインが魅力的で、ノスタルジックな雰囲気の漂う人気観光地として維持し続けられるのだと思います。  

 

最後に、熊本地震の被害に遭われた被災地の皆様やご家族の方々に心からお見舞いを申し上げるとともに、犠牲になられた方々とご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。一日も早い平穏な日々の訪れと被災地の復興・復旧を心よりお祈りいたします。

 

(日刊サン 2016/4/27)

 

 

 

鵜飼 高生 Takao Ugai 建築士・AIA・LEED AP・博士(建築)・家庭塾長 Focus Labo LLC 代表取締役

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明治大学建築学科卒業後、ハワイ大学マノア校で建築の博士号を取得。日米両国での建築設計実務経験がある、経験豊富なハワイ州登録建築士。