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日本と比べると、ハワイは古い建物がとても多いと感じる方は多いのではないでしょうか。実際、築50年以上の建物も多く、一軒家やコンドミニアム、商業施設と多種多様の古い建物が街中に存在しています。その背景としては、根底に不動産の査定方法があります。  

日本では、築年数で建物の価値が自動的に下がってしまいますが、ハワイではきちんとメンテナンスされていれば下がるどころか、どんどん値段が上がっていきます。そのため、建物を大切に使い、また積極的に改修工事を行う傾向があります。その結果、古い建物が取り壊されることなく、多数が健在する街並みが見られるのです。モノを大切に使うというのはサスティナビリティの基本であり、とても素晴らしいことです。

 

築50年から歴史的建造物扱い  

ホノルル市の規定によると築50年以上の建築物は歴史的建造物という扱いになり、改築・増築時に専門の部署に許可申請をする必要があります。これには、歴史的価値のある建物を保護する目的があるのです。特に改築を妨げるような働きをする部署ではなく、無自覚に歴史的価値のあるものを壊さないようにすることを目的としています。

 

Historic Siteに登録  

もし、ご自身がお持ちの建物が歴史的に価値があるものであればNational Registerに登録をすることができます。建物のデザインや構法が昔のものであるとか、昔のコミュニティーの様子を表している等、明確なものからとても曖昧なものまで幅広くあります。  

例えば、街並みでいえばハレイワの建物群といったものや、個別の建物であればイオラニ宮殿が代表的かと思いますが、その他にもマノアの一軒家等、一見それほど特徴がなさそうなものまで登録されています。  

もし登録をすると、固定資産税(Property Tax)がほぼなくなる(数十ドル程度)という大きなメリットがあります。また、現状を維持するための修繕に、助成金が出やすかったりします。  

デメリットとしては改築や増築が少し面倒かもしれないということです。改築をする際に再度審査を受け、登録解除となるのか否か等の協議を行う必要がありますが、登録したからといって今後改築できないわけではないので、もし適合する可能性があればぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

(日刊サン 2017/8/2)

 

 

 

鵜飼 高生 Takao Ugai 建築士・AIA・LEED AP・博士(建築)・家庭塾長 Focus Labo LLC 代表取締役

Email: [email protected]

明治大学建築学科卒業後、ハワイ大学マノア校で建築の博士号を取得。日米両国での建築設計実務経験がある、経験豊富なハワイ州登録建築士。